日本女性のシンボルとしての、なでしこジャパン

昨日、マスコミは感動をただ消費しているだけに過ぎないと偉そうに書いた私ですが、女子サッカーはせいぜい代表の試合を見るだけで、なでしこリーグを見に行ったことがあるわけじゃありません。
サッカー以外のスポーツでは、せいぜい昔から好きだった自転車やウインタースポーツを見るだけで、女子ソフトボールやカーリングに対して何か特別な注意を払うといったことはしていません。
でも、現役生活をリタイアした人や金に余裕がある学生、プロのライターでも無い限り、現在の日本社会でいくつかのスポーツを掛け持ちで観戦できる人というのはほとんどいないと思うんですよね。
なでしこジャパンの試合にしても、やはりスケジュールは土日で、Jのスタジアムを使う事もありますが、それ以外の小さくアクセスの不便なスタジアムでの開催が多く、何よりJと合わせて4時間以上をサッカー観戦に費やす事はよほど特別な情熱が無ければ難しく、現在Jに親しんでいるようなコアなサッカーファンに女子へのサポートをさらに期待する事はほぼ不可能でしょう。
ならば、新たな客層を獲得するしか、なでしこを盛り上げて行く道はありません。そこで期待したいのが、日本女性のパワーです。
アメリカで女子サッカーが盛んなのは、中層階級にいるお母さん達が、子供にサッカーをやらせてそれを応援するのがライフスタイルとして定着したおかげと言われており、「サッカーマム」は無視できない支持層としてアメリカの政治家にも認識されています。
今回のワールドカップでも、観客の中に占める女性の割合が男子サッカーに比べると非常に多く、イングランドやアメリカは監督も女性で、欧米では女子サッカーが女性自身の手によって支えられているという事を実感します。
確かに、サイモン・クーパー氏が指摘するように、女性がスポーツそれ自体に興味を持って探求する層はそれほど多くはないのかもしれませんが、アメリカGKソロが起用されたナイキのCMを見ても、アスリートと言うよりはほとんどモデルのようなもので、「美しさと強さ」という女性にとっての普遍的な価値にアピールしようという狙いを感じさせます。
それでも、いきなりなでしこリーグがJを差し置いてテレビに登場する事はまずあり得ないでしょうし、たとえ観客が倍に増えたとしてもプロとして興行を成り立たせて行くことは難しいかもしれませんが、なでしこが男子の添え物や企業の道楽ではなく、女性自立のシンボルとして認識されるようになれば、自然と社会の扱いにも変化が出てくるのではないかと期待するのですが・・・