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「本田の決勝ゴールを生み出した、ミハイロビッチ監督の”十八番”」イタリア・セリエA第25節 ミラン-ジェノア

本田の決勝点となったゴールとバッカへのほぼアシストの活躍で、イタリアのマスコミから手のひら返しの絶賛を受けたジェノア戦。しかし、改めて試合を見てみるとあまり手放しとはいえない難しい内容になっていた。

ジェノアのフォーメーションは3-4-3で、守備時には5-4-1のような形になって守るシステム。これは1-1のドローに終わったウディネーゼ戦を見てもミランの4-4-2とは相性が良くない。今のミランの攻撃は中盤でゲームを作るというよりも、4-4のゾーンで堅く守ってから前線の4人に素早くボールを繋いで基点を作る形になっているので、本田とボナヴェントゥーラをWBでマークし、バッカにはマンマークを付けつつ幅広く動くニアンをCB2枚がアタック&カバーすると、とたんに手詰まりになってしまう。

この試合ではデシーリオが活発に動いて本田とコンビネーションを見せていたが、特に前半はベルトラッチが相変わらずバイタルで攻撃に絡みたがって本田のマークに対するフォローの動きをしてくれないし、ボナヴェントゥーラは相手WBのマークを嫌って中に入り込んでしまい、前線が渋滞してクロスは跳ね返されるしミドルシュートは壁に当たるしという、ミランにとってはフラストレーションが溜まる攻撃が続いてしまった。

ただ、その分ジェノアにとっては攻撃も出来なくなるわけで、特に前半はデシーリオとアントネッリのオーバーラップに対してもウイングがマークに付いて来たので、ジェノアとしては1トップで孤立するマタヴジュにロングボールを蹴るしか攻め手が無かった。それだけに、前半の5分にCKから本田がセカンドボールに対してタッチラインぎりぎりで追いつき、そこからのクロスをバッカが決めた先制点によって、ある程度精神的な余裕を持った状態で試合を進められた事が大きかった。

しかし後半になると、ミハイロビッチ監督お得意の「左右入れ替え」で戦況が一変する。前半は2トップの左側にいたニアンを右サイドに移し、本田のサイドに流れてボールを受けるようになると、それで出来た中央のスペースに本田が寄り、トップ下かインサイドハーフのような位置でプレイするようになる。

これでミランの中盤がモントリーヴォとベルトラッチ、本田の3枚になって、ジェノアのダブルボランチに対して数的優位を作れるようになると、後半19分に中盤でポッカリと出来たスペースで本田がデシーリオから横パスを受けると、そのままドリブルで持ち込んでミドルシュート。無回転のボールはゴール前で鋭く曲がり、さらに濡れたピッチでバウンドしてさらに加速するというGKペリンにとってはノーチャンスのゴラッソが決まってしまう。

ようやく楽になったミランは、そこからメネズ、ポーリ、ラストはバロテッリと控え選手をどんどん投入したが、メネズとポーリは攻撃だけじゃなくてしっかり守備のタスクもこなしていたのに対し、バロテッリは酷いもんだった。残り2分からの交代出場にも関わらず、ほとんどの場面でただ歩いているだけで、唯一味方がバイタルで前を向いた時だけ猛ダッシュ、ロスタイムには無駄にボールをキープして倒されたところでファールをアピールして起き上がれず、チェルチに決められた失点の逆基点になっていた。ミハイロビッチ監督は試合後に激怒していたらしいが、そもそも奴を出したらそうなるだろうと(苦笑)。

まあとにかく今のミランの好調は、前線も惜しみなくプレスバックやカバーリングに走る全員の献身性にあるのは確かだが、そこにメネズやバロテッリ、ボアテングといった個人の力をどう加えて行くかが、来期に控える欧州戦に備えて必要になって来る部分なので、単に走らないから放出すれば良いという訳にも行かない。ドルトムントもそうだが、ここからが監督にとっては難しい舵取りになるだろう。

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