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「調子が出て来た本田、ニアンをあえて下げてしまうミハイロビッチの思惑とは」イタリア・セリエA第18節 ミラン-ボローニャ

新年になってセリエA初めての試合。また舌禍事件を引き起こしたかと思われた本田だったが、メディアによる誤訳という誤解が解けてこの試合では無事先発メンバーに名を連ねた。

ミランのフォーメーションは、バッカとニアンの2トップに、左SHがボナヴェントゥーラ、右が本田、ボランチがモントリーヴォとベルトラッチという4-4-2で、メクセス以外は前節のフロジノーネ戦と同じメンバー。対するボローニャは4-1-4-1という形。

フロジノーネ戦では4点を取ったミランの攻撃陣だが、ボローニャは序盤を除けば自陣で守備をしっかり固めてきたのもあってなかなかボールがスムーズに回らない。

まず問題はミランの2トップ。ニアンのサイドへの飛び出しや守備の戻りはいいけど、1対1のトリッキーなプレイしかやらなくてコンビプレイが無く、単調なクロスやシュートで攻撃を終わらせてしまう。そしてバッカは、裏抜けの動きとかテクニックはいいけど、競り合いに負けて前線での基点になれない。サイドも本田とボナヴェントゥーラには相手のSBがきっちりマークして前にボールを運べない。

そうなると中盤での組み立てが頼りになるのだが、ボナヴェントゥーラはひたすらドリブルで仕掛けるだけで、モントリーヴォはドリブルで切れ込んで一発のパス狙いばかりだし、ベルトラッチはモントリーヴォとポジションがかぶって横並びになる形が多く、なかなか中盤でトライアングルを作ってくれない。そんな中で、本田1人だけはショートパスサッカーをやろうとして、中盤に顔を出してボールをもらいに行くもののパスは出て来ず、本田が横パスをすると伝わらなくてカットされてしまう悪循環。

唯一、アバーテだけが理解していて、本田がキープしている間にオーバーラップ、本田からヒールで裏抜けという場面があったが、アバーテに対してもボローニャのSHが警戒して縦を切っているので、得意のオーバーラップを出す機会がほとんど無かった。

後半になると、ミハイロビッチ監督から修正の指示が出たのか、前半は最初から中に入り過ぎていた本田がサイドに開いて受けるようになり、前半は横並びになってたボランチが縦の関係になり、サイドから中へ持ち出す本田のボールをベルトラッチが受けたりとミランの攻撃リズムが良くなる。

が、前半の本田の折り返しからニアン、前半ロスタイムにDF裏に抜けだしたバッカ、後半には本田シュートからこぼれ球をボナヴェントゥーラ、そしてボナヴェントゥーラの折り返しをニアンが一人シュートクリアの珍プレイ、そこに飛び込んだ本田のシュートがブロックされるなど、ミランは数多くあった決定機をものに出来ない。

するとミハイロビッチ監督は後半19分に、後半になって周囲とリズムが作れるようになった本田に代えてチェルチを投入したが、これが結果的には完全な裏目に出てしまう。

ニアンのパスから抜け出したカウンターの場面で、ゴール前でフリーになっていたバッカにパスを出さず、GKを交わそうとして相手の守備に戻られてシュートがブロックされて絶好機を潰してしまう。すると逆に後半の36分、アバーテがオーバーラップからドリブルをカットされると、当然同じサイドのSHであるチェルチはカバーに戻らないといけないはずだが、マークすべきジャッケリーニを追うのを途中でやめてしまい、最後はそのジャッケリーニがフリーな状態でシュートを決めてしまった。

前半は判断の悪いプレイが多かったニアンも、スペースが出来た後半になって良いプレイをするようになったのだが、本田と同じようにミハイロビッチ監督は35分にルイス・アドリアーノと交代。ルイス・アドリアーノは試合に全く入れず、失点後も中盤でウロウロするだけで全く攻撃のカンフル剤にならなかった。そして試合はそのまま0-1で敗戦。

確かにチェルチが決定機で得点を決めて勝っていれば絶妙の采配と言われたのかも知れないが、所詮結果が全てである。チェルチを投入するにしても、後半19分に本田を下げてまで守備のリスクを増やす必要はなかったし、ニアンにしても本田にしても調子が上がって来ていた選手を下げて、わざわざリズムを落とす采配はどう考えてもおかしい。チェルチ投入の理由は「1対1で相手を抜いて数的優位になるようにするためだった」らしいが、数的不利を引き起こしたのでは意味が無い。

ミランはボアテングの復帰が決まり、フェライニの獲得も噂されているが、前線の選手を取っ替え引っ替えするよりも先にやるべき事が沢山あるような気がしてならないのだが・・・

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