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「ミランと本田にとっての”王子様”現る」イタリア・セリエA第19節 ローマ-ミラン

痛い敗戦を喫したボローニャ戦から中2日で行われたローマとの試合。前節で超決定機をフイにしてしまってブーイングを浴びたチェルチがベンチ外になり、この試合も本田が右SHで先発した。

現在のミランの問題点はフォーメーション云々よりも選手構成にあり、FWの主軸であるバッカはどちらかと言うと裏抜けタイプで、本来ならもう1人はポストプレイヤーを置くべきなのだが、ニアンにしてもルイス・アドリアーノにしてもそういうプレイが得意ではなく、持ち味がかぶってコンビネーションが生まれない。

さらにボランチについても、モントリーヴォはドリブルで持ってから一発のパスを狙いたがり、ベルトラッチはあちこち動きまわって掻き回す山口タイプで決してパスを散らせる選手じゃない。アンカーでどっしり構えてシンプルに繋ぐデ・ヨンクはなぜか戦力外になっていて、縦パスをFWに付けられる選手がいない。

そして本田とアバーテの縦ラインも研究されていてオーバーラップのコースが消されるようになり、FWもボランチもあまりボールを受けに動かないので攻撃が寸詰まりになってしまう。結局、ボナヴェントゥーラの単独ドリブル突破だけが目立つ内容になるわけだ。

このローマ戦ではモントリーヴォに代えてクツカが先発したが、クツカはまだモントリーヴォに比べるとシンプルにプレイしてくれるが、やはり右サイドは縦を塞がれているので本田もなんとかボールをキープしてアバーテに繋ぐぐらいしか出来ない。

しかし後半になると、前半4分に先制したローマがややプレスの圧力を弱め始め、ミランも徐々に中盤でボールが持てるようになる。すると後半5分にカウンター気味の攻撃からボナヴェントゥーラ、バッカと繋いで右サイドの本田にパスが来ると、本田はファーサイドへダイレクトのクロスを上げ、これをクツカがヘディングで決めてミランが同点に追いつく。

ミランは後半11分に、ルイス・アドリアーノに代えて、シャルケからミランに復帰したケヴィン=プリンス・ボアテングを投入すると、いきなりボアテングは前線でプレスをかけてボールを奪い、クツカの決定的なシュート場面を作り出す。

今までミランの2トップは前線で動きがかぶって蓋になってしまう場面が多かったが、ボアテングはトップ下の位置から左右に飛び出してボールを引き出し、バッカも1トップになった事で自由に動けるようになり、いきなりミランの攻撃の潤滑油となる効果を生み出した。

そして本田にとっても中でボールを受けられる選手が生まれ、しかもボアテングがサイドに流れて本田がトップ下に入るポジションチェンジも可能になるので、今までに比べるとはるかにプレイがしやすそうに見えた。

残念ながら、ミランはボアテングが入ってから2度のビッグチャンスを物にできず試合はドローに終わってしまったが、ボアテングが入った事で閉塞感が漂っていたミランの攻撃に明るい材料が生まれた事は間違いない。つーか、それにミハイロビッチ監督が気づいている保証は無いんだけどね(笑)。

とにかく、これでチームにとっても本田にとっても文字通りの”王子様”が登場したと言えるのではないだろうか。

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