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「イラクが勝ったのは人間力でも給水力でもなく、”感情力”?」U-23アジア選手権 3位決定戦 カタール-イラク

地元カタールとイラクとの間で行われた、リオ五輪行きの最後の切符がかかった3位決定戦は、まさに文字通りの死闘となった。

試合の流れとしては完全にカタールのものというか、イラクの自滅だった。イラクは日本戦同様に序盤からハイプレスでカタールに襲いかかるが、少し焦りがあるのか特に自陣で無理なドリブルを仕掛けてロストする場面が多く、前半27分には全体が前がかりになったところで中盤で横パスを相手に渡してしまい、そのままGKと1対1になって最後は並走してきたアラディンに流してカタールが先制点を決めてしまう。

カタールはさすがスペイン人のサンチェス監督が率いているだけあって、どこぞの極東チームとは違ってビルドアップがしっかりしており、ボランチのキープ力とドリブルでイラクのプレッシャーをいなすと、ボールと逆サイドを上がる選手にサイドチェンジで基点を作るというシンプルだが効果的な組み立ててイラクのペースを渡さない。

先制されたイラクはさらにゴリ押し攻撃を強め、とにかくロングボールを前線に放り込んでセカンドボールを拾い、サイドのドリブル突破からひたすらクロスを上げるものの、精度を欠いてなかなか味方の頭にボールが当たらない。逆にカタールはカウンターから片手で余る程の大チャンスを得るのだが、数的有利からどフリーなシュートをことごとく決められない。

そして試合もいつの間にか後半40分が過ぎ、パワープレイに入ったイラクがハーフライン付近からロングボールを放り込むと、これがアブドゥル・ラヒームの頭に当たってそのままボールはカタールゴールに吸い込まれてしまう。あれだけ崩してクロスを上げても入らなかった得点が、一発の適当な放り込みで決まるのだから不思議なものである。

延長に入ると、さすがにここまでターンオーバーをして来なかったカタールの足が止まって攻撃が出来なくなり、試合のペースはイラクに傾く。そして延長後半3分にカタールのクリアミスを拾ったイラクがまたボールを放り込むと、カタールの守備陣が疲労でラインを早く上げられず、ゴール前に残っていたフセインが頭で流し込んでイラクがとうとう勝ち越し。

カタールは延長後半6分にFKからハサンのヘッドがクロスバー、至近距離からこぼれ球のシュートを打たれるがGKが体を張ったセーブで得点を許さず、11分にもゴール前での混戦でシュートをブロックするなど必死の守りで耐え抜き、イラクが最後の五輪切符を手に入れた。

しかしこんな素晴らしい熱戦だったのに、解説の人間力氏は「イラクは感情に火がつくと止められない」「気持ちが高ぶったイラクは怖い」などと抽象的なフレーズを繰り返していたのですっかり鼻白んでしまった。これからは人間力や給水力をやめて、感情力で売り出すつもりなんだろうか(笑)。

まあでも個人的には、帰化人ばかりで予選を自国開催にするという力の論理で押し通すカタールよりも、準決勝で対戦したイラクの方を応援していたので良かったかなと。さて今晩はいよいよ決勝の日韓戦だけど、果たして結果はどうなるか。

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