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「いろんな意味でも恐るべし手倉森監督の胆力」U-23アジア選手権 準々決勝 日本-イラン

ここから負けたら終わりのノックアウトステージ、そして現メンバーにとっての鬼門である準々決勝のイラン戦。

4-3-3のハイラインでワイドに押し込んで来るイランに対して、日本はサウジ戦のように4-2-3-1で中盤の3枚をそれぞれマッチアップさせて来るのではないかと予想していたのだが、蓋を開けてみれば、GK:櫛引 DF:岩波、植田、室屋、亀川 MF:遠藤、原川、 中島、矢島 FW:久保、オナイウという4-4-2にして来たのは意外だった。

試合が始まっていみると、その手倉森監督の狙いはすぐ分かった。ハイラインのイランに対して日本も対抗して2トップが相手のDFにプレッシャーをかけつつラインを高くするという、ある意味ミラーゲームのような試合に持ち込んだのだ。

おかげで前半はひたすら蹴り合っては空中戦で競り合う内容に終始、25分に久保のシュートが出るまで互いにシュートが1本も無いという非常に「堅苦しい」展開が続く。イランはグループリーグほどラインを高くしてこないので、日本はDFラインで比較的ボールを持てるものの、サイドにスピードのある人材を欠いているのでなかなか裏を取ることが出来ず、拮抗した展開のまま前半を終了する。

後半になると、徐々に日本の1対1の弱さがイランに見切られ、オナイウのポストプレイは溜めが作れなくなり、矢島も中島も相手のリーチに負けてボールを奪われる形が多くなり、中盤がロストからのカウンターにビビってなかなかフォローに行けず、さらに前線が孤立してしまう悪循環で日本のリズムが悪くなる。が、モハマディのヘディングはクロスバーに当たり、櫛引の良い飛び出しもあって何とかイランにゴールを割らせない。

そんな厳しい試合展開の中でも手倉森監督はなかなか動かず、ようやく後半37分に疲れが見える久保に代えて浅野、43分に矢島から豊川に交代するが、この交代策がドンピシャと当たってしまったのだから手倉森監督の勝負運は凄まじい(笑)。

後半終わりごろからイランの運動量が落ち始めていたのだが、延長になるとそれが明確になって日本がサイドでボールを持てるようになる。すると6分に、右サイドに飛び出した室屋がボールをキープし、切れ込んでからのクロスが中に飛び込んだ豊川の頭にドンピシャで合い、日本が待望の先制点をゲットする。

ここでイランは攻撃の選手を入れて3バックにしたのだが、それがイランにとっては裏目に出てしまう。これでサイドのマークが外れた中島がドリブルで前を向けるようになり、延長後半4分にドリブルからカットインしてゴールのファーサイドにデル・ピエロもびっくりのスーペルゴラッソを決めたかと思うと、1分後には同じような形から今度はニアをぶち抜くミドルで3点目。これで完全に勝負は決まり、日本は鬼門の準々決勝を突破した。

まあ後半の内容からすると望外の結果になったと言えるが、おそらくこれを手倉森監督が狙っていたかと言うと相当怪しい(笑)。ただ、グループリーグではダメだった亀川が良くトラビを抑え、連戦になった中島が殊勲の2ゴールを上げるなど、選手のコンディションを見極める手腕は確かで、その眼力を信じ切る胆力も凄いものがあるなと。

さて次はとうとうリオへの切符がかかる準決勝。相手はUAEかイラクだが、イランの上位互換的なイラクが来ると苦戦は必至、まだUAEのほうがカウンターは危険だが与し易いように思うが、はてさて手倉森監督の人選とプランはどうなるであろうか。

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