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「イランの超絶無防備戦術は”アジジ作戦”なんだろうか」U-23アジア選手権 準々決勝イラン戦展望

とうとう、今日からU-23アジア選手権の決勝トーナメントが始まりますね。言うまでもなくリオ五輪の出場枠は3なので、日本はこの準々決勝で負けてしまうと自動的にリオへの道が断たれてしまう事になります。

その対戦相手のイランは言うまでもなくアジアトップクラスの強豪であり、テヘランで行われたA代表の親善試合でも非常にタフな試合になり、何とかドローに持ち込んだ記憶が新しいです。そういう先入観を持った状態で、録画してあったカタール戦(イランが0-2で負け)を見てみたのですが、「え、こんな雑なチームだったっけ?」声が出てしまうぐらい、戦術面でワンパターンというか、狙いと弱点がはっきりしたチームだとは思いませんでした。

イランの基本フォーメーションは4-1-4-1。一応は最近の戦術トレンド通り、SBが高い位置に上がってWの形でビルドアップはするのですが、あまりCBやアンカーから精度の高い縦パスが出て来る事は無くて、あくまで相手の守備を動かしてゲームメイカーのアリ・カリミが前を向いてプレイ出来る状況を作り、そこからワイドに張ったウイングや1トップの選手を走らせてミドルパスを出すという感じで、ポゼッションと言うよりは単調なオランダサッカーという感じ。

そして守備で目を引くのが異様なラインの高さ。普通は、ラインを高く上げてもバイタルで相手の選手が前を向いたら、DFはしっかり前線をマークできる位置まで下がるのが一般的なセオリーなのですが、イランのラインはバイタルでボールを持たれても高いままで、そこからアタックに行く選手の足が先に届くか、裏に抜ける選手をオフサイドにかけるかの2択しか無いという凄い割り切り方。

こういった4人だけのラインコントロールでバイタルの攻撃を防ぐのは、ゾーン・ディフェンスのスクランブルとしてはアリなのですが、イランは常にスクランブル状態(笑)。しかも前線に飛び出す選手が1人なら何とか集中出来ているんですが、同時に2人になると意識が分散して完全にザル状態。カタールもそれに気づいたのか、途中からサイドと中で2枚飛び出すようになって、カタールの先制点もまさにその形から生まれていました。

そして先制された後の後半からは、さらにイランはSBも攻撃参加して形としては凄まじく分厚い攻撃になるのですが、DFラインは2人になってザルというよりは穴が空いた金魚すくいみたいになって、サイドからカウンターを受け放題。カタールに決定力があれば4点ぐらいは入ってましたよ。

まあ正直、こんだけ穴だらけの戦術で良く決勝トーナメントに来れたなと思うのですが、もしかするとカタールの能力が相対的に高かっただけで、他のチームには個人能力だけで勝てていたのかもしれませんし、もしかするとイランは”アジジ作戦”のような三味線を弾いているのかもしれないので油断は出来ませんけどね(笑)。

イランの個人で注意しなければならないのは、やはりゲームメーカーのアリ・カリミ。遠藤あたりが重点的に彼をマークして前線に良いパスを出されないように気をつけなければなりません。そして17番のトラビは、日本が苦手とするパワーでゴリゴリとドリブルしてくる選手。SBの対応が後手を踏んでしまうと、危ないシーンを作られてしまうでしょう。また全体的に高さもあるのでセットプレイに繋がるファールは要注意です。

日本の攻撃としては、やはりDFラインの裏を狙った攻撃。カタールの試合を見ても2枚での飛び出しが有効なので、鈴木武蔵や浅野、サイドから南野とスピードを持った選手を上手く使いたいところです。その意味でも、フォーメーションは4-3-3にしてアリ・カリミにマークを付けつつバイタルをしっかり締め、ワイドなサイドへの飛び出しを使っていきたいですが、果たして手倉森監督はどんな戦術とメンバーを選ぶのでしょうか。

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