旧閑ガゼッタ

「日本は半額シールのドルトムント」ロシアW杯アジア二次予選 シンガポール-日本

まあ後半はパッとしない内容だったとはいえ、日本代表では久々に「監督が意図するチームとしての攻撃の形」というものが見られて、それが結果に繋がったという意味では満足すべき試合だったのかなと思う。

前回のシンガポール戦では、前線の選手がほぼ相手のDFラインと一直線に並んだまま、足元でボールを繋いでワンツーで崩すか回してキープして最後はふんわりクロスみたいな形ばかりだったのだが、今回は特にダイアゴナルなパスをサイドに出して崩すという狙いがはっきりと見て取れた。

選手のポジショニングも、マイボール時にはウイングの本田と武藤はサイドに開き、長谷部と柏木は縦の関係になり、清武がバイタルを中心にパスコースを作るというような形で、フォーメーション的には4-2-3-1ではあるが実質的には流動的な4-3-3という並びになっていた。

そしてどちらかのサイドの高い位置にボールが来ると、ボランチの1枚と清武がフォローに入ってトライアングルを作り、そこからSBがオーバーラップを仕掛けたり、1トップの金崎が動いてDFを引き連れ、それで出来たバイタルエリアのスペースに逆サイドのウイングである武藤や本田が入って来る。

前半19分の先制点も、森重のサイドチェンジを高い位置で受けた本田から中へ入っていた武藤へクロスが出て、折り返しを金崎が胸トラップからボレーを決めたもので、まさに現在ドルトムントでもよく見るサイドを使った崩しのパターンであった。

ただ、4回はあったフリーでクロスを上げられる場面で酒井宏樹がことごとく精度の悪さを見せつけてしまったり、単純に勢いだけで威力もコースも甘いシュートを打ってしまったりと、ラストワンプレイのクォリティはまだまだドルトムントレベルとは大きな差があったと言える。特に前半2点目を取ってから何度も高い位置でボールを奪ったのに、それを決められず前半だけで勝負を付けるチャンスをみすみす失ったのはいただけない。

後半になるとさらに状況は悪化して、10分ほどでもう清武や本田が動けなくなって前線に張り付いたままになり、ギャップが作れず短いパスをチマチマ回してはロスト、というお馴染みの場面が頻発。そのうちDF陣や中盤も押し上げられなくなってスペースが出来、そこをシンガポールに使われ始めてヘディングから2度ほどピンチを迎えるが相手のミスで助かった。

日本は後半25分から宇佐美、5分後には香川を入れるがあまり戦況は変わらず。しかし最後に本田に代えて原口が入ると、ようやく右サイドが活性化して左に偏りすぎた攻撃のバランスが良くなり、香川のスルーパスが光るようになる。そしてその流れからのCKで酒井のヘディングは相手DFに跳ね返されるものの、宇佐美のシュートが吉田に当たってコースが変わり3点目。これが完全にダメ押しとなった。

選手の出来としては、良かったと思うのは柏木、金崎、武藤。柏木は運動量豊富に中盤を動きまわってパスを散らし、プチ遠藤的な役割で日本の潤滑油になっていた。ミスもあるし守備力は不安だけど弱い相手には山口よりも間違いなく効果的である。金崎は強い体幹を活かして競り合いやキープで基点となり、DF裏への動き出しも意欲的。スペースの無い相手なら岡崎よりも使える感じ。そして武藤は一番に変えられてしまったが、とても時差があったとは思えないほど後半も元気一杯。高さやスピードでシンガポールを苦しめた。

逆に悪かったのは酒井宏樹、長友、本田の欧州組。酒井宏樹はクロスの精度もだがオーバーラップのタイミングが相変わらず遅い。長友はさすがにお疲れか武藤や宇佐美とあまり絡めず。本田は点こそ取ったものの、足を止めてボールをキープした状態からの可能性が全く感じられない。ハリルホジッチからの信頼は厚いが、原口が良かっただけに落差が際立っている。

さて次は17日のカンボジア戦。シンガポール以上に負ける可能性が少ない相手だけに、積極的なターンオーバーで疲労の少ない選手を優先して使い、アジアの経験値をサブメンバーにも分けてもらいたいところである。