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「今回はクロスに苦労す?」アジアカップ グループD 日本-パレスチナ

アジアカップ2015の初戦となったパレスチナ戦は、日本が前半8分の遠藤が決めたミドルシュートを皮切りに前半のうちに3点を決め、後半も4分に吉田がヘディングを決めて4点差にした後は、相手に退場者が出た事もあって先発陣を温存しながら逃げ切る余裕を見せての勝利であった。

パレスチナはアジアの平均レベルからすると劣る力量だっただけに勝利は当然の結果ではあったが、これまでアジアカップではいつも初戦の結果に苦しんでいただけに、初戦の快勝という結果は単純に喜ばしいし、今後の選手起用に幅が出来るという点でも大きい結果だったように思う。

個人的に注目していた日本の攻撃の形については、パレスチナがとにかく日本のクサビに集中して守っていた事もあって、岡崎がクサビに降りてくる動きを囮にしながら比較的余裕があったサイドを長友や乾が突いてそこに素早くパスを出して起点を作り、ニアに選手が走りこんでギャップを作る崩しの狙いがはっきり見て取れた。おそらくこの連動性は今後の試合でも日本の基本線になって来るだろう。

右サイドの本田には相手のSBがビッチリマンマークについていたので、途中から本田が中に入ってマーカーを引き連れ、空いたスペースに酒井高徳が上がって攻撃参加する形が目立つようになったが、比較的フリーな状態でクロスを上げられる機会があったにも関わらず、結局点につながったのは香川の反転からのクロスのみだった事は残念である。

アギーレ監督の指示なのだろうが、日本がクロスを上げる時は最低でも4人が相手DFラインに並んでどこでも受けられる形を作っていだのだが、肝心のクロスがニアサイドの相手に引っかかったり、クロスが跳ね返ってもセカンドボールを拾える位置に選手がいなくてカウンターを食らいかけたりと、クロスを得点につなげる形についてはまだまだ不満が残る。

中盤のつなぎについても、足を止めた状態から緩いパスを出してカットされたり、ワンタッチのバックパスの処理を戸惑って相手に取られそうになったりと、相手がパレスチナだから致命傷にならなかったものの、日本の悪い癖である安易で他力本願な逃げパスも散見された。

そして守備では、懸念があった長谷部のアンカーはフランクフルトでの鍛錬のおかげかカバーリングはそれなりに的確な動きが出来ていたと言えるが、4-3-3のウィークポイントであるアンカーの両脇のスペースについてのケアは到底十分とは言えなかった。

遠藤と香川は基本的に高い位置に上がって攻撃をサポートし、彼らが空けたスペースは本田と乾のウイングがカバーしたり、酒井高徳と長友のSBが中に絞って埋めるという連動はあったのだが、彼らは1対1で止められる守備能力を持っていないので、相手の攻撃をマイボールにするためには少なくとも2人がサンドイッチする必要があり、そのフォローが間に合わない時には簡単にパスを繋がれて最後は1対1の勝負を仕掛けられる場面が多すぎた。

あと少し気になったのは4点目を取って遠藤が下がった後のグダグダ感。まあチーム全体がそこから流し気味にシフトしたというのもあるのだろうが、それまでのシンプルな縦パスが無くなってインサイドハーフに入った清武からは狙い過ぎな厳し目のパスが目立つようになり、武藤も縦への動きから中へパスという単調なプレイが多くて攻撃の幅が作れなくなってしまった。流すなら流すで、もっと幅広いボールの動きがあって欲しかったところ。

とまあ、文句は多く付けてしまったがこれまでのアジアカップ初戦よりもチーム全体としてこういうサッカーをやって行こうという狙いが見えた事は大きな収穫だったのではないだろうか。次はグループ最強のイラクが相手だけに、この試合で良かった点を推し進めつつイージーなミスを減らし、クロスの精度、コンビネーションを上げていく必要があるだろう。

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