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「ユース世代のコペルニクス的転回」U-17女子W杯決勝 日本-スペイン

本当なら土曜日にこの試合を見る予定だったんだけど、マンUの試合が香川先発だったのでそっちを優先、やっと昨晩にじっくり見る事ができた。

大会の通算成績が、6戦6勝23得点1失点というほぼ完璧な内容を見せた日本は、決勝で2度目の対戦になったスペインにも付け入る隙を許さず、2-0の完勝で有終の美を飾る事となった。

やはり優勝の最大の要因と言えるのは高倉監督が作り上げた強固で組織的な守備力。ディフェンスラインは絶え間なくボールの位置によって上げ下げされてコンパクトさを保ち、相手のポストプレイに対して必ず1人がアタックを仕掛け、すぐさま中盤からプレスバックをかけて2人で挟んでボールを奪い、アタックで空いたスペースには誰かがカバーに入るという、機械じかけのような精密な守備組織を90分保ち続ける。

今まで日本のユース世代といえば、攻撃力は良いものを持っていたとしても守備についてはさっぱりで、受け身に回るとあっという間にパニックに陥ってつまらないミスからあっさり失点してしまうのがお約束だったのだが、それをU-17という世代、しかも女子に対してここまで戦術を徹底出来るというのは、どんなマジックを使ったのか、と言うか今までの指導者はいったい何をしていたんだと言いたくなるぐらい、常識を根底からひっくり返される思いがした。正直、ユースどころか男子の五輪代表にも見習わせたい完成度である。

もう1つは、監督や戦術のおかげもあるのだろうが、これも日本の若手には付き物といえる危ない地点での変なミスや、プレイの選択ミスが少ないなという印象を持った。特にMVPに選ばれた杉田選手は、試合の流れを読んで相手を潰すべき時に潰せる、真のゲームリーダーが備える風格が感じられた。なでしこジャパンでは澤の後継者探しがずっと急務になっているが、間違いなく彼女は有力な候補になるだろう。そして準MVPとなった長谷川選手も、かつてのバレロンを思わせる優雅なボールタッチとアイデアに満ちたパスで記憶に残った。そして最優秀GKになった松本選手も若手らしくない落ち着いたプレイぶりが光っていた。

まあいろんな意味で日本のユースらしくない、良い意味で成熟したチームだったように思う。願わくば、これがU-17女子だけでなく全ての日本のユースカテゴリーに影響を与えるきっかけになって欲しいものである。選手や監督、関係者の皆さん、本当に優勝おめでとう!

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