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「香川自身にキレはあったが、チームはトゥヘル監督の手抜き采配の犠牲になった」ドイツ・ブンデスリーガ第29節 シャルケ-ボルシア・ドルトムント

ドイツで最も盛り上がるダービーであり、本来であれば両チームが全力で対決するはずのレヴィアダービーは、ドルトムントがオーバメヤン。ロイス、ムヒタリアンの前線を始めとして、ヨーロッパリーグのリバプール戦から8人、リーグのブレーメン戦からは7人を変えるというほぼ2軍メンバーを送り込んで来た。

ドルトムントのフォーメーションは、ラモスの1トップに香川とプリシッチを前線に並べた3-4-3で、対するシャルケも全く同じ3-4-3。この完全マッチアップによって、試合の前半はピッチ上ほぼ全てのエリアで激しい1対1が繰り広げられるという、良い意味でダービーらしい、悪い意味で工夫やアイデアに欠ける展開になってしまった。

その中で、香川は序盤こそバイタルでボールを受けては左ウイングに入ったドゥルムやラモスを使うような場面を作っていたが、自分自身へのマークが強まり始めると徐々に存在感が薄まってしまう。その原因は香川自身というよりも周りにあって、ラモスは前に張ってるだけでポストを受けに下がろうとはしないし、シャヒンとライトナーはボールを落ち着かせられず大きな展開をする事が出来ない。そうなると香川も後ろ向きでしかボールを受けられず、余計にマークの狙い目となってしまうわけだ。

いくつか単発的なチャンスはあったものの膠着しきっていた前半が終わり、さすがにトゥヘルもこれはマズいと思ったのか、後半からフンメルスに代えてムヒタリアンを投入し、右ウイングだったギンターをCBに下げて代わりにムヒタリアンを配置した。これによりフォーメーションは3-4-3から、香川とプリシッチがインサイドハーフのような位置になった3-2-4-1のようになって、前半よりも香川が自由に動けるようになった。

その効果が早速後半4分に現れ、中央やや右サイドでボールを持った香川が攻め上がっていたライトナーに縦パスを送ると、ライトナーがダイレクトに香川へ落とし、それを香川がGKのポジションを見て冷静にチップキックをゴール左隅に決めてドルトムントが先制点を上げる。が、わずかその3分後に、今度はフンテラールのキープからシャルケがクロスを上げると、いったんはGKビュルキがセーブするものの、弾いたボールがサネの前に転がって同点ゴールを押し込まれる。

しかしドルトムントもその4分後にはムヒタリアンのFKに飛び込んだギンターが頭で決めて2-1とリードするも、後半21分にGKからのフィードにベンダーとソクラティスがかぶってしまい、抜けだされたフンテラールをソクラティスが後ろからタックルしてしまってPK。これをフンテラールに決められてまたもドルトムントがリードを守れず追いつかれてしまう。

トゥヘル監督はそこからオーバメヤンとギュンドアンを入れてベストメンバーでテコ入れ、フォーメーションを4-3-3にしてボールを支配するも、香川が先制点と同じようにゴール前のワンツーから放ったシュートがシャルケGKフェールマンに抑えられるなどチャンスを物に出来ず、逆にシャルケは試合終了間際にマイヤーがフリーでボレーを放つも枠を捉えられず、試合はそのまま2-2のドローで終了した。

これでドルトムントはバイエルンとの勝ち点差が7に開いてしまい、ほぼリーグ戦の優勝は絶望的になってしまった。次週のミッドウィークに迫っているリバプールとのヨーロッパリーグに備えたターンオーバーだったが、それを踏まえてもあまりにメンバーを落とし過ぎである。これでもしヨーロッパリーグを落とす事になれば、ファンやメディアからの非難は免れないであろう。

しかも前半の3-4-3フォーメーションは、どう考えても純粋なウイングじゃない香川や、ポストプレイヤーじゃないラモスの特性を活かせるものではなく、せめて後半からの3-2-4-1であればもう少し前半を優位に戦えていたはずだ。香川自身のプレイは切れていたので、レヴィアダービーを軽視して手抜きをしたとしか思えないトゥヘル監督の采配の犠牲になってしまった感がある。それだけに、先制点のスーパーゴールで多少なりとも低い評価を見返せたのではないか。リバプール戦は出たとしても途中出場が濃厚だが、次も是非点につながるプレイを期待したい。

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