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「杉本のラストパス?に見る、川崎とJリーグの縮図」J1 2ndステージ第8節 湘南ベルマーレ-川崎フロンターレ

昨日のACL準々決勝、柏レイソルと広州恒大の試合は残念ながらホームの柏が1-3で敗れ、第2レグを残しているとは言え突破は極めて厳しい状況になってしまった。

2点目のパウリーニョのFKはまさにワールドクラスと呼ぶべきもので、確かに個の能力差で言えば勝ち目が薄い相手ではあるのだが、では柏が徹底的に弱者の戦い方を選択して乾坤一擲にかけたかというとそうでもなく、やはりいつものように手数をかけた攻撃で正面から素直にぶつかって素直に負けたという感じだろうか。

この試合は録画をしてあって、昨晩は帰宅してから見るつもりだったのだが、それまでに結果は知ってしまっていたし、金をもらっているプロではないのでわざわざ負け試合たいでをレポートする気にもならず、前半途中で見るのをやめて湘南と川崎の試合に切り替えた。

で、結果は川崎が幸先良く試合開始直後に大久保のゴールで先制したものの、11分にはバックパスを藤田に拾われて同点にされてしまうと、その後は5バックで守りを固める湘南を攻めあぐみ、後半31分には絵に描いたようなカウンターから逆転ゴールを食らって敗戦という、いかにも「川崎らしい」負け方になってしまった。

しかし湘南の守備がそれほど素晴らしかったと言うとそうでもなく、柏相手に快勝した試合に比べるとDFラインの位置取りが低く、中盤でプレスがかからず5人のラインの前に3~4人が並んだ単なる壁のような形になってしまう事が多く、特にサイドはWBが1人しかおらず、その前には広大なスペースがあったのにも関わらず、川崎は湘南の守備を崩しきる事が出来なかった。

こういう相手に対しては、ドルトムントのようにボールをサイドからサイドへと大きく動かして中盤の守備をずらしながら、スペースが開いたサイドをドリブルやパスで崩し、センターではミドルシュートを狙う攻撃が常套手段なのだが、川崎はひたすら狭いスペースでショートパスを回すだけで、湘南の守備をずらそうという意図が感じられなかった。

一度、PA内左サイドで川崎の杉本が抜けだした場面があったのだが、そこで杉本が選んだプレイは中への折り返し。シュートコースが開いていたのに人が固まったゴール前へクロスを出すとは、まるでキックターゲットに直接蹴るよりも、柱が乱立している中に蹴って跳ね返ったボールのほうが決まる確率が高いと言っているようなものである。

さすがにこのプレイには解説の木村和司氏も批判していたが、この杉本の選択にこそ、今のJリーグ勢が抱えている宿痾を見るような気がする。いかに相手にボールを渡さず安全につないでゴール前へ運ぶ回数を競うスポーツではなくて、相手のいない場所にボールを運び、邪魔が無い状況でシュートを打って決めるスポーツなんだという意識に変えないと、いつまでも日程やコンディションのせいにしてJリーグ勢が負け続ける現状は変えられないのではないかと思うのだ。

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