旧閑ガゼッタ

「マラドーナの神の手と五人抜き、現代の試合だったら果たして実現したプレイだったのか?」メキシコW杯 準々決勝 アルゼンチン-イングランド

昨日は身内に不幸があり、ドタバタしていて結局アップ出来なかったんだけど、一昨日はあのメキシコW杯での伝説の試合、アルゼンチン対イングランドの試合を見ていた。実況は当時のリアルタイムで、山本浩アナウンサーと、岡野俊一郎さんの解説というゴールデンコンビ。

アルゼンチンは3-1-4-2のフォーメーションでマラドーナは2トップの一角で出場、イングランドは4-1-3-2で、大会の得点王に輝いたギャリー・リネカーもやはり2トップの一角で先発。

試合は比較的静かな立ち上がりで、自由に動き回るマラドーナもなかなかスペースを与えてもらえなかったが、前半9分に右サイドで前を向くと、足に吸い付くドリブルで相手のイエローカードを誘ってFKをゲット。このあたりからアルゼンチンがボールを支配するが、13分にはアルゼンチンGKプンピードがサイドに出て触れなかったスキを突いてサイドネットに当たるシュートを放つ。

アルゼンチンに押し下げられているイングランドは、リネカーめがけてロングボールを放り込むだけで当然満足にチャンスが作れず、選手がいかにもイライラしている。前半30分にはマラドーナのスピードに乗ったドリブルをイングランドがかろうじてファールで止め、マラドーナのFKはわずかにニアへ外れる。

そして後半になっての6分、あの「神の手」ゴールが生まれる。マラドーナのドリブルからワンツーを試みたパスをイングランドの選手が何とか足に当て、浮き上がったボールにマラドーナがGKと競った際に挙げた手に当たってボールがゴールに吸い込まれる。もし当時にVARがあったら確実にイエローが出るプレイだ(笑)。

さらに後半10分、失点で前がかりになったイングランドの攻撃をカット、自陣でパスを受けたマラドーナがターンから一気にフルスピードになったドリブルでイングランドの選手を次々と交わし、最後はGKシルトンもフェイントで置き去りにする伝説の「5人抜き」ゴールを決めてアルゼンチンが2点目。

しかしこの失点でイングランドのジョンブル魂に火がつく。SBが高い位置を取って基点になり、今で言うところのニアゾーンにガンガン選手が入ってアルゼンチンゴールを攻め立てる。逆にマラドーナは休憩状態なのか、1トップのように前でフラフラしているだけで、後半はほとんどボールに触れない。

すると後半36分、途中交代で入ったバーンズが左サイドを縦に抜け出し、マイナス気味のクロスをイングランドのエース、ギャリー・リネカーが今大会6点目となるゴールをヘディングで叩き込み、イングランドが1点差に追い上げる。

後半42分にまたもバーンズから送られたマイナスのクロスにリネカーが合わせようとしたが、オラルティコエチェアともつれてボールは後ろにそれてしまう。そして2分のロスタイムを経て試合終了、アルゼンチンが準決勝へと駒を進めた。

同じアルゼンチンのスターであるマラドーナとメッシは常に比較される存在だが、マラドーナはトップスピードでも左足にボールがくっついたままのドリブルで、相手はボールに一切アプローチ出来ず、ファールでしか止められなかった。加えて視野の広さがあって大きな展開パスを出せて、時折ノールックでのヒールなどトリッキーなプレイも見せる。

メッシの場合は、一瞬の切れと加速力で相手をキリキリ舞いにするプレイスタイルで、戦術的な進化を考えたらメッシのほうがチームに与える実質的な効果は高いと思うが、やはり見た目の派手さではマラドーナに分があるのは避けられず、そのあたりがアルゼンチン国内での低評価に繋がっているのかもしれない。今の時代に、マラドーナがいたらどんな試合になったのか、是非見てみたくなる試合だった。