旧閑ガゼッタ

「消えていた清武が突然結果を出すのは、もはやハノーファーの様式美」ドイツ・ブンデスリーガ第11節 HSV-ハノーファー

開幕から未勝利が続き、8節から2連勝はしたものの再び公式戦で連敗と波に乗れないハノーファー。第11節は中位をキープしているHSVとのアウェイでの対戦になったが、HSVに先制点を許しながらも清武のPKとアシストで大きな逆転勝利を飾る事が出来た。

それにしても驚いたのがHSVのしっかりした組織サッカー。シュツットガルト時代のラッバディア監督の戦術といえば、酒井高徳のオーバーラップが攻撃の鍵になるぐらいに攻め手の少ない地味なスタイルだったのだが、この試合のHSVはフォーメーションこそ4-4-2ではあるものの、マイボール時にはホルトビーがアンカーの形で1人残り、それより前の5人が高い位置でハノーファーの中盤とDFにプレッシャーをかけつつ、2トップのポストプレイから2列目がどんどん前に飛び出すダイナミックな攻撃を繰り出して来る。

こういうサッカーだとSBの役割は、自陣でしっかりスペースを埋めてリスクを管理する役割がメインになるわけで、そりゃシュツットガルト自体にはラッバディア監督に重用された酒井高徳の出番が少なくなるのも納得である。まるで中の人が変わったかのような、サッカースタイルの変容ぶりである。

それに比べると、ハノーファーは相変わらず後ろの8人で守って、攻撃は清武のアイデアとテクニックにお任せの脳死サッカー。おまけにこの試合ではウイングのクラウスとアンドレアセンが全く攻撃に絡めず、ボランチのシュミーデバッハが判断ミスを連発して何ともピンチを作り出し、清武はいつも以上にボールとは縁遠くなる始末で前半のシュート数はわずか2本。PKものだったハンドが1つ見逃されたのと、GKツィーラーのおかげで何とか1失点で済んだもののハノーファーは何も出来なかった。

しかしマインツのカリウスにしてもこのツィーラーにしても、ドイツは下位チームであっても他国だったら十分代表の正GKになるだけの選手がゴロゴロしているんだから凄いというか羨ましいと言うか・・・

さすがに前半の何も出来なさに業を煮やしたのか、ハノーファーは後半最初から2人を投入したが、この采配が結果的に的中した。右ウイングに投入した18歳のサン・マクシマンが高い身体能力とスピードで攻撃の基点となり、そこからソビエフや清武にボールが渡るようになる。

すると後半14分に、これも後半から交代で入ったベックが酒井宏樹からの縦パスに抜け出し、スライディングしたディークマイアーの残った足に引っ掛けて倒れPK。それを清武が落ち着いて決めてハノーファーが同点。ただしこのシーン、ベックはジャンプすればスライディングを避けられたタイミングで、シミュレーション気味に倒れたので前半の見逃しと合わせてハノーファーにはラッキーな判定だった。

その後は当然ながらホームのHSVが攻勢に転じ、ハノーファーはまたも防戦一方になってしまったが、後半21分にサネから右サイドに居た清武にボールが渡り、清武はマークを受けながらも中央にふんわりとしたクロス、これをサネが長身を活かして競り勝ち、ヘディングのボールがきっちりゴール隅に飛び込んでハノーファーが逆転。

リードしたハノーファーは、後半38分に清武を下げて守備固めにアフロのフェリペを投入する得意のパターンで、アフロも体を張って何とか相手の猛攻を凌ぎ切って試合終了。だいたいハノーファーの勝ち試合というのは何で勝ったか分からない感じのものが多いんだけど、今回はそれ以上に「不思議の勝ち」というべき試合で、残留に向けてはほとんど希望は見えて来ない。つーか、清武が怪我でもしたら確実に終わる(苦笑)。

酒井については守備の対応に追われてあまり目立ちはしなかったが、PKに繋がったパスは良かった。最近、得意のオーバーラップは少ないしクロスの精度自体は下がっているように思うが、地味に縦パスが向上していてビルドアップの役に立っている。おそらく今回は代表に招集されるだろうから、そこでまた一皮むけて欲しい。