旧閑ガゼッタ

「手倉森ジャパンは、久保でも南野でも中島でもなく、鈴木武蔵のチームだった」AFC U-23選手権予選 グループI 日本-ベトナム

アジアカップでベスト16に進出するなど、ベトナム代表の快進撃を導いて現地では英雄扱いになっている三浦俊也監督が兼任するU-22代表との対戦という事で注目された試合。しかもベトナムは初戦でマレーシアに勝利しているので、この試合で日本に勝つと最終戦がマカオなので1位通過に王手をかけられるという事で、日本にとっても難しい対戦となった。

三浦俊也といえばゾーン・ディフェンスの使い手として知られる監督だが、もちろんU-22でもその本領を発揮、コンパクトな2ラインのゾーンをしっかり自陣に作って日本の攻撃を封じ込めて来た。

フォーメーションとしては5-4-1の5バック。5バックゾーンの利点は、バイタルエリアにDFラインから誰かが当たりに行っても4人が残ってピッチの幅をカバー出来る事にあり、あまりベトナムの中盤は前に出て来ずあくまで5-4のゾーンの中で日本のボールを奪ってカウンターという狙いが徹底されていた。

日本は欧州組の久保と南野が先発し、それぞれ1トップ、2列目の左の位置で起用されたが、久保はそのゾーンの裏へ飛び出す動きを狙いたがり、しかし田んぼのようなピッチでボールが走らず、5バックで左右のスペースを詰めているベトナムDFラインにボールをカットされる危険性が高いため、中盤から久保の動きに合わせるパスが出せずにひたすら空回りしていた。

こういう時は、いったんボールを下げて相手のDFラインを上げさせて、それと入れ替わるような形でラインの裏を狙い、そこにダイレクトの浮き球を合わせるような攻撃が有効であり、ベトナムの守備はその対応が出来ていないなと感じたのだが、結局前半はそういう形が見えた回数は非常に少なかった。南野は単独打開力を見せてそれなりに存在感を見せていたが、久保の出来は連携不足が大半とはいえやや寂しいものがあった。

ところが後半10分に鈴木武蔵が入ると状況は一変する。久保が直線的に一発を狙う動きだったのに対し、鈴木はサイドのオープンスペースへと広く動き出し、中には狭くてなかなかパスが出せなかった日本の中盤も、鈴木の大きな動き出しには安心して合わせることが出来るようになった。そうやってサイドで基点を作れば、相手のラインを下げて日本がポゼッションするスペースが作れるようになる。

前半と後半の終わりに、狭いスペースを巧みなコントロールでボールを扱って冷静にシュートを決めた中島翔哉が試合のMVPである事に異論はないが、日本が尽きないスタミナでしつこくカウンターを狙って来るベトナム相手にクリーンシートが出来たのは、鈴木武蔵が後半の日本にパスを回せる余裕を作ってくれた事が大きい。海外組の参加でレギュラー落ちする羽目になりそうだったが、意外と手倉森ジャパンにとっては一番外せない存在になっているのかもしれない。

さて次は最終戦のマレーシア。2位でも上位5チームが進出できるとはいえ、他グループの2位も得失点差が+6以上のチームが6チームもあり、日本は得失点差+9とは言え、ベトナムがマカオに大勝し、日本がマレーシアに負けると分からなくなってしまう。最後もきっちり勝利で終わってもらいたい。