サイトアイコン 旧閑ガゼッタ

「糸が切れてしまった最強チーム」欧州CL準決勝第2レグ レアル・マドリード-バイエルン・ミュンヘン

ブンデスリーガを圧倒的な強さで史上最速優勝を飾り、グアルディオラ政権になってますます隙が無いのではと見られていたバイエルンが、何とホームでレアルに0-4の大敗を喫してしまったという事実は驚愕以外の何物でもなかった。

しかし実際に試合を見てみると、そこに存在していたのは出来が悪い時の日本代表のような遅くてミスだらけの情けない王者の姿で、今シーズンにあれだけ見せつけられた精緻で堅固なサッカーがここまで変貌してしまうとは、とにかく不思議であると同時にチームというものはまさに生き物なのだなあと思い知らされた。

アンチェロッティ監督の手腕が賞賛されてはいるが、レアルの守備が素晴らしかったかというとそうでもなく、守備時には普通に4-4-2の形になってゾーンを引いていただけで、より一層バイエルンの不出来が際立っている。もともとモドリッチとシャビ・アロンソ、ディ・マリアの3センターは対人守備能力は強くないのだから、実力通りの力をバイエルンが発揮できれば十分勝てる試合だったと思う。

バイエルンがそうなってしまったのは様々な要因が複合的に絡まっているのだろうが、やはりあまりにも早くリーグの優勝を決めてしまって、選手の緊張の糸が切れてしまった事が最も大きいのではないか。序盤に見せたノイアーの飛び出しミスやキックミス、34分にクリロナに決められたカウンターの場面でのダンテの棒立ち、脇を抜かれたノイアーの反応など、この大舞台ではあり得ないレベルの集中力の欠如である。

攻撃面でも、いつものトライアングルを作る動きとダイレクトパスのハーモニーは欠片も見られず、マイボールになっても前線の4人が横に並んでジョギングをしているだけでパスコースもギャップも作れず、ボールホルダーは3タッチ4タッチと足元でこねくり回してパスを出す相手を探し、縦パスが出てもあっさりマークに引っかかってボールロスト。バルサからペップが居なくなってバルササッカーが消えたと思ったら、こっちでもすっかり消えてしまっておりましたとさ。

3点差をつけられて折り返した後半になってからは少しだけ持ち直し、パスワークは復活しないもののクロースやロッベンらによる強引な攻めが出始めてバイエルンらしい力強さが見られるようになったが時既に遅し。最後はクリロナのFKでジャンプした壁の下を通されるという、この試合を象徴するかのような失点でジ・エンド。

レアルは攻めに出た時の守備力、特に1ボランチのサイドに弱点を抱えているのだから、バイエルンとしては最初からカウンター狙いをしていれば良かったのにと思ってしまうのだが、果たしてペップにそういう選択肢はあったのだろうか。もとからベッケンバウアー氏などバイエルン上層部からは評判が悪かっただけに、この結末が今後にどう響くのかが注目される。

モバイルバージョンを終了