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「リバプールでも”新たな香川”を創りだしたクロップのマジック」ヨーロッパリーグ 準決勝第2レグ リバプール-ビジャレアル

ビジャレアルホームでの第1レグを0-1で落としたリバプール。しかしビジャレアルは、ドルトムントと同様にアンフィールドの魔物に飲み込まれてしまい、第2レグは気がつけばリバプールが3-0で圧勝、逆転で決勝進出を決めた。

ビジャレアルの敗因は、やはり早い時間帯でオウンゴールでアグリゲートスコアで1-1のイーブンに持ち込まれてしまった事が大きいが、クロップが戦術的にビジャレアル対策をしっかり立てて来た事もポイントだったように思う。

スペインや最近のドイツに多い4-4-2のゾーン・ディフェンス対策として最近流行りつつあるのが、自陣では絞って守るDFラインの外側から攻める方法。バイエルンやドルトムントが時々3バックにしているのも、ウイングをマークする相手SBの外からWBを攻撃参加させる狙いが大きい。

この試合のリバプールで攻撃のキーマンとなったのが、右SBのクライン。右SHのララーナがインサイドハーフのように中へ絞ってビジャレアルのSBを引き付け、出来たスペースにクラインが再三オーバーラップして基点を作った。

先制点の場面も、エムレ・ジャンから右サイドをオーバーラップしたクラインにサイドチェンジが渡り、そのクロスをGKが弾いてファーサイドに流れたボールをフィルミーニョがダイレクトで折り返してスタリッジと交錯したソリアーノが体に当ててオウンゴールになったもので、まさにクロップの狙い通りだったと言える。

そしてもう1つのポイントはリバプールの全得点に絡んだロベルト・フィルミーノの活躍。これまでは1トップとして使われる事が多かった選手だが、この試合ではトップ下及びインサイドハーフとして繊細なタッチで攻撃にアクセントを作り出していた。2点目のララーナからの浮き球をスタリッジに合わせたスルーパス、3点目の左サイドからドリブルで切れ込んでのアシストは、まさしくドルトムントで見る香川のプレイそのまんまであった。

しかしクロップは気に入らない選手は徹底的に干すけど、気に入った選手を確かな戦力に育て上げる手腕、眼力は本当に凄い。ロベルト・フィルミーノはホッフェンハイムではブラジル選手らしくない地味なプレイで、あまりパッとしないFWだなと思っていたのだが、まさか香川のような選手になるとは思わなかった。

今期はリーグではあまり成績を挙げられなかったが、来期のリバプールは台風の目になりそうだし、是非とも優勝を飾ってチャンピオンズリーグでも見てみたいものである。

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