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「南野はそれなりに正しい道を歩みつつある」欧州EL ベスト32第2レグ ザルツブルク-ビジャレアル

ビジャレアル・アウェイでの第1レグを1-2で折り返したザルツブルクが迎えた、ホームでの第2レグ。

ザルツブルクは前半18分にジュリチンが先制点を取って一時はアウェイゴールで上回ったものの、前半のうちにセットプレイから失点しアグリゲートスコアで逆転され、後半には何度か決定機を作るものの決めきれず、逆にカウンターから2点を奪われて轟沈。ヨーロッパリーグをベスト32で終わらせてしまった。

この試合では南野が先発したのだが、あまりボールに絡む機会が無くて前半いっぱいで途中交代。と書けば、いかにも出来が悪くて懲罰的な交代だったように思えるが、個人的にはそこまで悲観する内容ではなかったと思っている。

だいたい、原口や柿谷、宇佐美、かつての乾や香川のような日本人テクニシャンはボールを足元にもらってからプレイをスタートさせるタイプが多く、総じてインテンシティが低いという欠点がある。

ところが欧州でサイドをやる場合に求められるはまず守備力であって、彼らはそういう訓練を日本でほとんど受けていないために、いざ守備となると1対1とポジショニングが弱いためにいちいちカバーで低い位置まで下がらざるを得ず、そこから攻撃に出ようとすると長い距離をダッシュする必要があるのであっという間に疲弊して存在感を無くしてしまう。そして自信も失って攻撃面の良さも出せなくなる悪循環に陥る。

しかし南野は、ある程度ゾーンディフェンスの素養があるのか守備のポジショニングに「あれ?」と思う事が少ない。ボールが逆サイドにある時は中へ絞るし、SBが上がれば後ろでカバーもする。攻守の切り替え場面でも遅れること無くちゃんと流れに乗れている。

ただ、ザルツブルクの攻撃戦術はかなり特殊で、この試合はザルツブルクもビジャレアルも典型的なゾーン・ディフェンス戦術を取っていたのだが、攻撃面ではビジャレアルがワイドに開いてパスをつなぐタイプなのに対し、ザルツブルクは2トップと2SHが異常なまでに中へ絞り、狭くゴチャゴチャした中を個人の力だけで強引に突破する超脳味噌筋肉サッカー。

南野はそういうインテンシティ・バカなサッカーに慣れているはずもなく、序盤こそゴリゴリ行ってはボールを失うというチャレンジもあったが、段々疲れて来たのかJリーグっぽく腕を開いて足元にボールを要求する場面が増え、そして当然のごとく無視されていた(笑)。

後半からは右SHだったジュリチンが南野がいた左SHに入ったが、ジュリチンは比較的低い位置でボールを捌きつつ、SBウルマーの上がりに合わせたり、サイドで基点が出来ると自分は中に入ってシュートを狙ったりと、南野に比べると周りのプレイを活かしつつ自分が活きようとするプレイが多かった。まあ彼は慣れてるのだから差があるのは当然だし、ゾーンの土台はある程度出来ているのでこれからじっくり勉強すれば道は開けるのではないかと思う。

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