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「ベルギーが繰り出す変化球を、ことごとく弾いてカンテが拾うフランスの鉄壁」ロシア・ワールドカップ 準決勝 フランス-ベルギー

長かったロシア・ワールドカップもとうとう準決勝。第1試合は、厳しいグループを勝ち抜けてきたフランスと、日本に逆転勝利を挙げてから波に乗るベルギーとの対戦。フランスは出場停止だったマテュイディが復帰して右SHに入った、ベストメンバーの4-2-3-1。ベルギーはムニエが出場停止で、右WBにはシャドリが移り、左にデンベレが入った3-4-2-1のフォーメーション。

試合はベルギーがWBを高い位置に上げて基点を作り、ポゼッションで優位を見せる立ち上がり。ベルギーの守備は、シャドリがDFに下がって4バックにシフト、ヴェルトンゲンとデンベレでムバッペをサンドイッチしつつ、ポグバにはフェライニをマンマークで付け、フランスの攻撃の基点を確実に潰して来る。

前半16分に右サイドを抜け出したアザールが両チームのファーストシュート。フランスも18分にマチュイディが強烈なミドルもGK正面とジャブの応酬。しかし20分にCKから2番が振り向きざまにシュートを放つがフランスGKロリスがスーパーセーブ。

フランスは、ベルギーはアザールとデ・ブルイネがポジションを変えながら動くためにカンテが狙いを絞れず、フェライニが攻撃参加してハイボールのターゲットになるのでなかなかラインが上げられない。

30分を過ぎると、フランスはマチュイディが下がってシャドリ、ポグバがフェライニをマンマーク気味にケアするようになり、ようやく中盤で落ち着きを取り戻して反撃、32分にはグリーズマンがミドルを放つが枠外、33分には中盤でボールを奪うとグリーズマンのパスからムバッペが抜け出し、折返しにジルーが飛び込むが上手くヒットせず。

さらに38分にパバールが右サイドを抜け出しクロスと見せかけたシュートもベルギーGKクルトワがきっちり読んで体に当てる素晴らしい対応。44分にはゴール前でファールを獲得するもグリーズマンの直接FKは壁に当たるなど、フランスの攻勢が続いたが結局スコアは動かず前半終了。

後半早々に試合が動く。6分にフランスはCKを獲得すると、ポグバをお取りに使ってニアに走り込んだウムティティがヘディングでそらし、そのボールがベルギーゴールに吸い込まれる。これはさすがのクルトワも為す術が無かった。

ベルギーは攻撃時にフェライニを右サイドに張り出させ、3-4-1-2の2トップのようにし、デンベレに代えてメルテンスを投入、精彩を欠くデ・ブルイネをボランチに下げて高さで勝負に切り替え、19分にアーリークロスにフェライニがヘディングを合わせるもギリギリ枠外。

フランスは、ベルギーのボールがハーフラインを超えるとジルーまで下がって5-2-3のような形で自陣に壁を築く。それでもベルギーは構わずアーリークロスをフェライニとルカクに放り込み、ガードの上から殴り続ける。

後半34分にはアザールがゴール前で倒されたように見えたがノーファールと判定される不運。さらにベルギーはフェライニに代えてカラスコを投入、35分にはまたもアザールがドリブルで切れ込み、こぼれ球をヴィツェルが強烈なシュートもロリスがファインセーブ。

フランスは後半39分、ジルーに代えてエンゾンジ、続けて動けないマテュイディに代えてトリッソを投入、さらに守りを固める狙い。6分のロスタイムに入ってベルギーはさらにバチュアイを入れるが、逆にフランスはムバッペとグリーズマンでカウンターを仕掛けるが、クルトワが最後まで意地を見せゴールを許さず、試合はそのまま1-0で終了、フランスが3大会ぶりに決勝戦へと進出した。

どちらも決勝へ進出するにふさわしい好ゲームだったが、ベルギーはフランスの守備が混乱していた前半のうちに先制点を取れなかった事が大きかった。そして大きく崩されたわけでもなくセットプレイから失点とツキも無かった。ムニエ不在でシャドリを左に持って行ったため右サイドが機能せず、ルカクはヴァランに封じ込まれ、デ・ブルイネは疲労からか本来のキレが無かったのも痛かった。

フランスはGKロリスが絶好調、アルゼンチン戦こそどつき合いを演じたものの、それ以外は全試合で1失点。カンテのおかげで無駄に消耗せず守り勝つスタイルがしっかり出来上がっているのは大きい。決勝の相手がどちらになっても、あまり不安無く試合に臨めそうな余裕を感じる試合だった。

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