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「試合から”正しい消え方”をしていた柴崎の戦術眼」スペイン・リーガエスパニョーラ第19節 ヘタフェ-マラガ

柴崎がゴールを決めて怪我をした第4節のバルセロナ戦以来、3ヶ月ぶりの復帰を果たしたマラガ戦。ここ4試合で得点を挙げたのは1試合という得点力不足に陥ったチームを救うべく、柴崎は4-2-3-1のトップ下として先発した。

試合開始いきなり3分で、ポルティージョからのスルーパスに抜け出したモリーナが枠を外すシュートを打ったものの、その後は守備の戻りが早く中盤で激しくプレスをかけて来るマラガに対して、ヘタフェはポゼッションもままならない展開が続く。

トップ下に入った柴崎にもパスが回って来る事はほとんど無く、ロングボールに競ったり相手CBにプレッシャーをかけたりと、いわゆる「消えている時間」が非常に多い。こういう場合、日本人選手は往々にしてボールをもらいにウロウロと中盤に下がったりサイドへ移ったりするものだが、柴崎はそういうプレイはほとんどしない。

これはゾーン・ディフェンスとしては非常に大事なところで、たとえボールが一切来なくても、適切にポジションのバランスを取り続ける事で、相手の守備を引きつけて味方のためにスペースを作る事が出来るし、守備ではスペースを埋めつつ相手に素早くアプローチ出来るようになる。ボールサイドの状況ではなく、味方の位置と相手の位置によってポジションが決まる、ゾーン・ディフェンスの考え方を柴崎は完璧に理解できている。

前半37分に、枠を外したが柴崎はゴール前のこぼれ球をシュート、前半ロスタイムにもマラガGKロベルトが弾いたボールをシュートする場面など、90分を通じてヘタフェが放った7本のシュートのうち柴崎は3本を打っているが、ボールが来なくても常時ニアゾーンを狙って忠実に動いているからこそチャンスがやって来るのだ。

とは言えヘタフェ自体は後半に入ってもパッとせず、前半同様にマラガがボールを支配する展開。後半11分にはFKからアドリアンに決定的なヘディングを打たれるが、ヘタフェGKマルティネスがファインセーブで何とか防ぐ。

後半15分に、ヘタフェはアマトに代えてアンヘルを投入、2トップにして柴崎を左SHへと移す。その直後の16分に、 浮き球に反応した柴崎がDFライン裏へ抜け出し、絶妙なトラップからシュートを打つも、角度が無く惜しくも相手に防がれてしまう。が、27分にヘタフェはFKからアンヘルが折り返したボールをカラが押し込み先制点をゲット。

柴崎は、その後も後半34分に相手のカウンターになりそうな場面で上手く体で押さえ込み起点を潰すなど、要所でTPOを理解したプレイを披露しながら38分にモラと交代、チームはそのまま1-0で逃げ切った。

いや~、やっぱり戦術好きとしては、柴崎のような戦術理解度の高い選手のプレイを見るのは非常に楽しい。ゾーン・ディフェンスを理解している選手が増えるのはハリルホジッチにとってもプラスになるはず。何とかこのまま無事にプレイを続けてもらって、是非ともW杯本番でピッチに立つ姿を見たいものである。

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