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「ゲームプランは完璧だったが、最後に無理がたたった流経大柏」高校サッカー選手権 決勝 前橋育英-流通経済大学柏

アップセットが多かった今大会だったが、準決勝は波乱無く終わって優勝候補同士のカードになった決勝戦は、戦術的にも見どころが多いハイレベルな試合になった。

前橋育英はこれまでと同じ4-4-2のゲーゲンプレッシングサッカーで臨んだのだが、流経大柏のほうはアンカーの三本木が前橋育英のエースである飯島をベッタリマンマーク、守備時は5-4-1のような形になって攻撃時には熊澤と菊地が交互に前へ出る4-1-3-2のような変則的な対応に出て来た。

そうなるとバランス的に前橋育英がポゼッションを握るのだが、流経大柏も前半10分に菊地が左サイドからDFのマークを交わすドリブルで抜け出し、クロスは宮本にギリギリ合わないという惜しいチャンスを作るなど、ロングボールからの個人技で一瞬のスキを付いて来る。

しかし前橋育英は、DFが跳ね返して中盤がプレスバックでセカンドボールを拾う守備が機能、攻撃では流経大柏の守備ゾーンの間でボールを受けてサイドへ展開する攻撃でリズムを作り始め、26分にはCKからのこぼれ球を飯島が強烈に叩くもわずかにクロスバーの上、ロスタイムには飯島がクリアミスを拾ってシュートもポストと、今大会7得点のエースが見せ場を作る。

流経大柏は後半14分に左からのクロスに宮本がヘディングで合わせ、ループシュートのように飛んだボールを前橋育英GK湯沢がギリギリセーブという場面を作ったが、その後は完全に前橋育英ペースで、16分過ぎに連続攻撃から五十嵐のシュートはクロスバーに当たって流経大柏は命拾い。

後半20分を過ぎると、徐々に中盤でスペースが生まれだしてフィジカルデュエルに強みを持つ流経大柏が盛り返し、トップ下に移った菊地やマンマーク役から解放された三本木がボールに絡んでチャンスを作るが、前半から守備対応でかなり走らされた影響からか勢いは長く続かず、徐々に守備への戻りが遅くなり、前線に宮崎を投入してツインタワーにした前橋育英に再びペースが移る。

前橋育英は、後半34分にCKからPA内でシュートを立て続けに3本放つ超決定機があったが、ギリギリゴールラインでクリアされるなど決められず、これは延長戦になると誰もが思った後半ロスタイム、田部井からの浮き球パスを頭で流したボールを飯島がPA内でキープ、反転からのシュートはブロックされたがこぼれ球を榎本が押し込み、これが決勝ゴールとなった。

準決勝でハイペースなサッカーを最後まで続け、決勝戦に影響が出るのではと心配したが、蓋を開けてみれば前橋育英の運動量は最後まで落ちず、逆に流経大柏のほうが息切れしてしまう結果になった。流経大柏にとってはプラン通りの試合内容だったはずだが、それを覆すだけの力量差があった試合だった。それだけ、昨年の決勝戦で青森山田に0-5と大敗した悔しさがチームを突き動かしたのだろう。前橋育英の選手、監督、関係者、そして群馬県民の皆さん本当におめでとう!

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