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「ワールドクラスだって必死に守備をするから世界一に輝ける」FIFAクラブワールドカップUAE2017 決勝 レアル・マドリー-グレミオ 

点差こそ最終的に1-0に終わったけど、スタッツ的にはボール支配率が66対34、シュート数はレアルが20本に対してグレミオはわずか1本と、グレミオ贔屓の人には残念だが力の差は思った以上に大きかったかなと。

ここまでマンマーク主体で守って来たグレミオが、レアルに対してどういう守備をするかに注目して見たのだが、序盤こそ高い位置からプレスに行ったものの、途中からはあまりFWがレアルのDFに対して追いかけず、ゾーンを低めに敷いて前線や中盤への縦パスに対して激しくチェックに行く形にして来た。

それ自体は悪くなかったのだが、やはりレアルのほうが個人技では一枚上手で、クリロナやベンゼマが相手のマークを外して縦パスを受ける瞬間が出来ると、そこにモドリッチやクロースがすぐさまフォロー、マルセロやイスコがスペースに入ってスイスイとボールをさばき、最後はクリロナにボールを集めてドカンと、あっという間に最後まで攻め切ってしまう。

しかしグレミオも非常に粘り強い対応を見せ、レアルに攻め込まれても冷静にポジショニングを修正し、PA内でフリーな選手が居ても最後まで体を投げ出し、たとえボールに届かなくても相手に余裕を持ってはシュートを打たせないという意地が感じられた。そこが、ボールしか見て無くてゾーンを無視して右往左往していた韓国戦の日本代表とは全く異なる部分である。

そうして何とか無失点で切り抜けて前半を終えていただけに、後半6分にクリスティアーノ・ロナウドのFKが壁の間を通ってコースが変わり、ゴールに吸い込まれてしまったのは運が無かった。これでグレミオは少しテンションが落ち、逆にレアルはプレッシャーから解放されてそこからはクリロナがヒールシュートを狙うなど、やりたい放題な攻撃になってしまい、試合の緊張感はそこで失われてしまった。

ただ攻撃では遊ぶ余裕を見せたのに対し、レアルの守備意識は最後まで真剣だった。カウンターにかけるグレミオに対し、カゼミーロと2人のCBが素早いチェックで攻撃を遅らせると、クロースやモドリッチ、マルセロはもちろん時にはベンゼマまで労を惜しまず守備へと戻り、あっという間にグレミオの攻撃陣を囲い込んでフリーにさせる場面を作らなかった。

とかく攻撃の華やかさばかりにスポットライトが当たるレアルだが、そんな天才的なタレントだらけのメンバーであっても、うわべの「自由や創造性」とは正反対の、誰一人としてサボらず守備戦術を遂行する土台があって初めて、攻撃的なチームが成り立つのだという減災サッカーの大前提を、改めて認識させられる大会であった。

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