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「これこそが、”嫌われ者”長友が監督に重用される理由」イタリア・セリエA 

既に第10節のサンプドリア戦は終わっているのだが、開幕から破竹の8連勝で首位を邁進しているナポリに、7勝1分で2位に食らいついているインテルがアウェイで挑んだ9節の大一番を昨日は観戦。

4-3-3のフォーメーションを取るナポリのサッカーは極めて完成度が高く、そんなにビルドアップは華麗では無いものの、的確なサイドチェンジからアタッキングサードにボールが入ると、次々に選手が前線へと飛び出してダイレクトパスを繋ぎ、一気にシュートまで持って行く凄まじい迫力があり、これこそがハリルホジッチが目指す理想形じゃないかと感銘を受ける。

特にナポリの左サイド、インシーニエ、ハムシク、グラムの3人は脅威の一言で、数多のビッグクラブが狙っているとされるSBグラムのダイナミックなプレイに、ハムシクの正確なパス、インシーニエのドリブルが絡む攻撃には、序盤からインテルの守備陣がキリキリ舞いさせられていた。

そうして左サイドに相手の守備を集めて中央のメルテンスが決めるか、メルテンスを抑えてもスペースが生まれるファーサイドでカジェホンが待ち構えるという二段構えがナポリの必殺パターンなのだが、そこに立ちはだかったのが長友だった。

長友はカジェホンの飛び出しに対して、時にはゴールマウスの前まで食らいつくスッポンのようなマークで封じ込め、いつもの激しい上下動は少なかったものの、マイボールになるとすぐさま中盤の位置まで上がってパスコースを作り、味方のビルドアップを引き出しつつカジェホンの位置を下げ、インテルのDFラインを助ける働きをしていた。

序盤こそナポリの猛攻に対してアップアップだったインテルも、長友らの粘り強い守備で耐え忍ぶと、ナポリほどの練度じゃないにせよ、徐々に相手のプレスに対して中盤の素早いパスワークで交わせるようになり、後半3分にはボランチのベシーノが自陣からドリブルで独走、最後はGKも交わして無人のゴールにシュートを放つが、ナポリDFアルビオルがゴール前で必死のカバー、インテルはこの試合で最大のチャンスをものに出来ず。

そこからはナポリの運動量が落ち始め、長友もペリシッチやイカルディへの縦パスを通すなどインテルも攻撃で盛り返し、首位争いらしい拮抗した展開になったが、ナポリも立て続けの選手交代で終盤はペースアップ、逆にインテルはドローを視野に入れて守備的な選手交代で対応、試合終了間際にはあわやオウンゴールのピンチを作ったがインテルGKハンダノビッチがさすがの反応でセーブ、試合はそのままスコアレスドローで終了した。

昨シーズンは同じナポリ戦で決定的なミスを犯し、サポーターからスケープゴートにされた長友だが、今期はスパレッティ監督によって完全に復活しつつある。ゾーン・ディフェンスの習熟度が弱いために、ラインを乱したりマークの受け渡しに難がある長友に対して、マンマークにタスクを絞って適材適所な使い方をしているところはさすがである。

それに比べると右SBのダンブロージオは、スペースはきっちり埋めるし、一応はナポリの選手をマークには行くんだけど、そこから2次、3次と攻撃が繰り出されると一瞬足を止めてしまう事が多く、守備対応で後手に回る事が多かった。どちらが良いというわけではないが、長友の特性が他の選手では代替できない以上、これからもスパレッティ監督に重用され続けそうだなという確信を持った試合だったね。

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