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「10倍のシュートを放って90分間ボコり続けた千葉、一発のラッキーパンチで悲惨なKO」J2第28節 ジェフユナイテッド千葉-湘南ベルマーレ

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という野村監督が引用して有名になった松浦静山の格言があるけど、千葉にとってはまさに不思議の負けとしか言いようがないほど、試合内容自体は90分を通じて完璧に千葉のペースだった。

千葉の戦術と言えばハイプレス、ゲーゲンプレスが代名詞になっているが、それよりも感心したのは攻撃の形。湘南のフォーメーションは3-4-2-1で、当然ながら守備時は5バックでサイドのスペースを埋めるため、普通のJ2レベルのクラブなら間違いなく攻めあぐねるパターンである。

しかし千葉の攻撃は湘南の堅守を軽々と飛び越える。ボールを奪うと1トップのラリベイへの縦パスやサイドへの長いボールで展開、左サイドに張った清武弟を基点に逆サイドへの船山にサイドチェンジ、相手の守備を広げてゴール前に飛び込むという5バックのさらに外側を利用する形で、前半5分のポストに当たった船山のシュートを始めとして、17分、20分、24分と立て続けに決定的なシュートを放つが、ことごとく湘南GK秋元の好セーブに阻まれてしまう。

湘南は前半30分頃からようやく体制を立て直し、後半からは前からプレスをかけて千葉のビルドアップを妨害しつつ、早い時点から千葉の3トップにマンマークを付け、前半はやられ放題だったボールの出しどころと受けどころを抑える修正を施し、後半は逆に湘南のペースになるかと思われた。

が、雨が続いて涼しい気候も味方に付けた千葉は、後半15分ごろから再び試合のペースを掴む。さすがにボールを奪ってから前線へ走り込む選手の数やスピードは衰えたが、今度は4-3-3のウイング、インサイドハーフ、SBのトライアングルでサイドを崩し、クロスのこぼれ球を拾って波状攻撃を仕掛けるのだが、今度はタイミングが合わなかったり、シュートがことごとくGKの正面に飛んでしまう。

そして両チーム無得点のまま迎えた後半41分、湘南のCKでエアポケットのようにフリーになっていたムルジャのヘディングに千葉GK佐藤は一歩も動けず、湘南が試合を通じてわずか2本目のシュートで先制点を奪ってしまう。そして5分のロスタイムで浴びせられる千葉のパワープレイも最後まで凌ぎきり、試合はそのまま湘南が1-0で勝利した。

ハリルホジッチに3回は試合を見て欲しいぐらいに、おそらく3バックで来るであろう最終予選のオーストラリアに対する最高の攻略法を千葉が見せてくれていたわけだが、数多の決定機をことごとくフイにして、セットプレイ1発でやられるというのも、いかにも代表が陥りそうな罠だったりするので、やっぱハリルホジッチは見なくてもいいよと思ったり(笑)。まあ、それだけ見事なサッカーを実現していた千葉には勝って欲しかった試合だねえ。

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