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「チーム力に恵まれない、ファビオ・アルの二日天下」ツール・ド・フランス2017 第14、15ステージ

自転車ロードレースに馴染みのない人には、この競技がある意味サッカー以上にチーム力が物を言う事がなかなか理解されにくいのだけど、まさにその重みがはっきり現れた2日間になってしまいました。

第14ステージは、トゥールーズからフランスの中央山塊を通ってロデーズにゴールするアップダウンの多いステージ。当然ながら、逃げ狙いの選手とスプリンターを擁するチーム同士の争いになったわけですが、最後の上り基調のゴールスプリントで総合争いにまさかの異変が起きてしまいました。

ゴールに向かって全員がペースアップする激しい展開の中、本来であればマイヨジョーヌのファビオ・アルは落車などの万が一のアクシデントを避けるために、アシストに守られて集団の前方をキープされるはずなのですが、悲しいかなアスタナにはそんな心強いアシストが存在せず、アルは単騎で集団の後方に追いやられてしまいました。

それを察知したチームスカイは先頭のほうでペースをさらにアップ、フルームがステージを勝利したマイケル・マシューズから1秒差でゴールインしたのに対し、最後の坂はフルームとほぼ同じタイムで登ったものの、それまでの遅れが響いたファビオ・アルは結局25秒遅れでゴール、総合タイムでフルームが18秒差で逆転、マイヨジョーヌは再びフルームの手に渡る事になりました。

そして第15ステージは、間にラ・モンテー・ナーヴ・ドブラック、ペイラタイヤードの1級山岳が2つ入る中級山岳ステージで、ここはさすがにスプリンターチームはお呼びでなく、逃げ集団による勝利を容認する流れになりました。

その中で、前日にステージ優勝をしたマイケル・マシューズが逃げに入ってスプリントポイントを獲得、現在トップのキッテルに対して79ポイントの差まで詰めて来ており、まだマイヨ・ヴェール争いを諦めていない様子です。同じチームで逃げに入ったバルギルは、最初の1級山岳を取って山岳賞をガッチリキープ。

実質的にステージ優勝が堅くなった先頭集団からはトニ・マルティンが単独アタックを仕掛けてタイムトライアル状態で逃げ、一時は1分30秒の差を付けるも結局逃げは成功せず、メイン集団では総合3位のバルデ擁するAG2Rチームが下りでペースアップ。

ここでフルームにまさかのメカトラブルが発生し、AG2Rが引く集団のペースが下がらなかったため、フルームがチームメイトから車輪の提供を受けて復帰した時には大きな差がついた状態になりましたが、そこはさすがに最強チームのスカイ、アシスト陣の懸命な引きによって何とかメイン集団に復帰。アルのアスタナとは格の違いを見せつけました。

残り30kmを切ったところで先頭集団からモレマが単独でアタック、最後の4級山岳を力強くクリアすると、ウリッシ、ガロパン、ログリッチェ、バルギルの追走集団を最後まで寄せ付けず、そのまま19秒差を付けての見事なステージ優勝。

メイン集団ではダニエル・マーティンが14秒のタイム差を縮める事に成功した一方、総合で2分差まで詰めていたナイロ・キンタナが遅れて結局フルームに対して4分遅れ、ここで完全に優勝争いからは脱落してしまいました。

今日は2日目の休息日で、火曜の第16ステージを挟んで、17、18と続く今大会最大の山場、アルプスステージへと飛び込みます。チームスカイの総合力をまざまざと見せつけられた週末になってしまいましたが、まだひと波乱ある事を期待したいですね。

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