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「風間監督対ロティーナ監督の知将対決は、ボヤキ節と褒め殺しの結末に」J2第18節 東京ヴェルディ-名古屋グランパス

2009年にJ2へ降格してからは、テクニックはあるけどもなかなか結果に結びつかず、すっかりJ2暮らしが定着してしまった東京ヴェルディ。

しかし今年から20年間もスペインリーグで実績を残してきた名将ロティーナ監督が就任すると、堅実にプレーオフ圏内をキープする好調ぶり。そのヴェルディが、J1から降格した風間監督率いるスター軍団名古屋と対戦するという事で、味の素スタジアムには12659人もの観衆が集まった。

ロティーナ監督の戦術をじっくり見たのは初めてだが、典型的な欧州スタイルの3バックゾーン・ディフェンスだなというのが第一印象。3バックは常にPAの幅をキープして、サイドのスペースはWBが下がって守備時には5バックの形になり、相手が各選手のゾーンに入って来たら素早くマークに移行する。

攻撃ではとにかく自陣で3バックとWB、ボランチの間で繋いでビルドアップ、タイミングを見計らって1トップの高木大輔がDFラインの裏を突き、そこにロングボールを合わせて基点を作り、全体が押し上げてフォローする。

そんなヴェルディのサッカーに、前からのプレスを交わされ名古屋が戸惑う時間帯が続いたのだが、徐々に名古屋のパス回しがヴェルディの寄せるスピードを上回り始めると、15分に右から細かくパスをつないでシモビッチが落としたボールを、杉森がトゥキック気味のシュートで決めて名古屋が先制する。

その後もヴェルディは自陣でのファールを嫌うせいか、名古屋の選手に対して強く当たらず、そのままズルズルと自陣に押し込まれる状況が続き、24分には左から相手のマークを外して和泉が巻いたシュートがクロスバーに当たる惜しいチャンス。が、41分になんちゃってゾーンの名古屋は中盤の選手がラインに吸収されて7バックになったスキに梶川が強烈なミドルを叩き込むが、高木が関与したとみなされオフサイド。

後半も名古屋の猛攻は続き、開始直後に杉森がスルーパスに抜け出すもシュートは枠の外、8分には八反田がゴール前に持ち込んでラストパス、しかしフリーだった杉森のシュートはクロスバー、12分にはまたまた杉森が真ん中を割ってPA内でシュートを打って外すなど、名古屋の杉森が3回あった超決定機を決められない。

そうなると当然のようにサッカーの神様はしっぺ返しをするもので、19分に右サイドで仕掛けたアランのクロスに名古屋GK渋谷が飛び出すも触れず、ドゥグラスが頭で押し込みヴェルディが同点に追いつくと、21分には橋本からの一発のロングパスをドゥグラスがトラップから決め、交代で入った2選手の活躍でとうとうヴェルディが逆転する。

逆に名古屋は杉本、佐藤、永井と途中出場した選手とのコンビネーションが合わず、その後もなかなか反撃のムードは作れなかったが、ようやく後半ロスタイムに宮原のクロスにシモビッチが決定的なヘディングをしたが、ヴェルディGK柴崎がスーパーセーブで凌ぐと、その3分後にもシモビッチが佐藤からのボールをシュートするが、これもポストに当たって入らず試合終了。

まあ内容的には名古屋が圧勝してもおかしくなかった試合で、負けた風間監督のボヤキと、勝った監督とは思えないほどロティーナ監督が名古屋を称えたのも納得である。とは言え、ヴェルディもチームのコンセプトが非常にはっきりしていて、ロティーナ采配の効果も絶妙、これから選手が勝ち癖を付けていけば、十分J1を狙えるチームになりそうだ。

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