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「呂比須監督は、ユン・ジョンファン監督と同じ道を歩めるのか?」J1第14節 セレッソ大阪-アルビレックス新潟

ガンバでのセホーン時代の印象があるだけにどうかなという感じだったし、セレッソに0-4で負けたと聞いた時には「やっぱりか」と思ってしまったのだが、実際に試合を見てみると良い意味で期待は裏切られた。

新潟のフォーメーションは4-4-2で、チアゴ・ガリャルドと山崎のトップに、鈴木武蔵とホニがSHという形。戦術はベーシックなゾーン・ディフェンスで、ボールサイドと逆のSHが高いポジションを取って、ボールを奪ったらそのSHへのサイドチェンジか、FWに当てて素早くSHに繋ぐロングカウンターが攻撃の狙いである。

現代のカウンターサッカーにおいては、SHにスピードとドリブル能力を持った選手を置き、相手のSBやWBの裏に出来やすいサイドのスペースに走らせ、FWはポストとフィニッシュに専念する形がトレンドになっているが、呂比須監督が本来はFWである鈴木を左SHに置いたのはそれが目的だろう。柿谷が左SHで起用されているのも同じ意図だと思うが、セレッソの場合は新潟ほどカウンターに割り切ってないので、あまり柿谷を走らせる展開は見られない。

と言う、互いに「なんちゃって」ではないゾーン・ディフェンス同士の試合であったため、試合展開は非常に拮抗した流れになった。序盤はセレッソが山村を基点にしてチャンスを作ったが、それ以降は新潟のペースで、21分に堀米のシュートがディフレクションになって、右から飛び込んだホニが合わせるがセレッソGKキム・ジンヒョンがかろうじて防ぎ、34分にはホニのスルーパスをチアゴがダイレクトでシュートもこれまたファインセーブされるなど、むしろ前半は新潟のほうに決定機が多かったぐらいである。

そして後半になると、新潟は前半よりもラインを上げて、それまでのサイドへのカウンター狙い一辺倒ではなく、前線の選手がバイタルに降りてDFからの縦パスを受け、中盤を作って攻める形にモデルチェンジして来た。セレッソは杉本が試合の流れから消えてしまって山村しか基点が作れず、中にボールが集まりすぎて攻撃のリズムが失われ、これは新潟がひょっとするかもと思ったのだが、後半22分にソン・ジュフンがCKでヨニッチの体を抱えて倒し、非常にもったいないPK。

これで新潟の集中力も切れてしまったのか、その5分後にはFKからの混戦でボールを奪いきれず、最後は水沼からファーに出されたクロスを山下が頭で合わせてセレッソが2点目。35分にもFKから柿谷が早いリスタートをすると、左へ走り込んだ山村を誰もマーク出来ずそのまま流し込まれて3点目。最後はソウザにFKを直接決められ、全てセットプレイ絡みの4失点で大敗してしまった。

結果だけを見ると悲惨だが、1点目が入るまでの新潟のサッカーは全く悪くなく、呂比須監督を舐めててすいませんと思ったのが正直なところ。ただし、前半の集中力が90分もたないところや、悪い流れの時に持ちこたえて立て直す力にはまだまだ欠けているので、そういう部分を今後の指導や補強で補っていけるのかどうか。クラブやサポーターが結果に我慢しきれず、呂比須監督の批判に走り始めると降格まっしぐらという気がするので、覚悟が問われる夏場になりそうである。

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