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「イスコを”ガンバの遠藤”として使い、アトレティコのプレスを無力化したジダン監督」UEFAチャンピオンズリーグ準決勝 第1レグ レアル・マドリー-アトレティコ・マドリー 

もはやチャンピオンズリーグの恒例行事とかしている、レアルとアトレティコのマドリー・ダービー。

今期は準決勝で相まみえる事になったわけだが、レアルホームの第1レグはクリスティアーノ・ロナウドのハットトリックでレアルが3-0で快勝という、意外な結果で折り返す事になった。

その要因としては、あわや逆転負けしそうになった準々決勝のアウェイレスター戦を見ても、グリーズマンを中心としたアトレティコの前線が決して好調ではない点と、ファンフラン、ヴルサリコ、ヒメネスといった主力選手を怪我で欠いて、左利きのルーカスを右SBに置いたために、マルセロの防戦で手一杯になって右からの攻撃が機能しなかったという点が大きい。

しかし試合の流れを確実に動かしたのは、ジダン監督の絶妙な選手起用だった。この試合でレアルが採ったフォーメーションは、クリロナとベンゼマの2トップに、トップ下にイスコを据えた4-3-1-2。イスコは68分間の出場でシュート1本、決定的なチャンスも作り出せず、結果だけを見れば決して成功した起用には見えないのだが、彼がいた事でアトレティコのプレスが無力化されていたのだ。

イスコはアトレティコが誇る4-4-2のコンパクトな3ラインディフェンスの間で左右に幅広く動き、モドリッチとクロースの間でミス無くパスを交換していた。これを見て思い出すのは、ACLを制覇した時のガンバのパスワークで、アジアではフィジカルプレスに負けてJリーグのチームが軒並み苦戦する中、ガンバだけは相手のプレスなど無かったかのようにスイスイと勝ち上がっていった。

いくら相手のプレスが激しくても、2列目とボランチの間で2~3回テンポよくパス交換すれば、必ず相手の足が一瞬止まる。そのタイミングでズバッとサイドへパスを出して一気に攻め立てる。自分自身が、現役時代はプレスを無力化する天才だったジダンにとっては、イスコをトップ下に起用する効果が見えていたのだろう。もっとも、ペレス会長お気に入りのベイルがいたらそうは出来なかっただろうが(笑)。

アトレティコのプレスが無くなれば、2トップで守備負担から解放されたクリロナが爆発するのも当然。1点目のシュート性のクロスに高い打点で合わせたヘディング、ベンゼマのポストから浮いたボールをハーフボレーで強烈に叩き込んだ2点目、カウンターからマイナスのクロスをGKの動きを見てきっちり合わせた3点目と、どれも簡単ではないゴールでハットトリック。アトレティコGKオブラクも為す術なし。

これでレアルの勝ち抜けはかなり可能性が高くなったが、もし決勝までにベイルが戻ってきたらどうなるんだろうね・・・ベイルをベンチに置く決断をして決勝で負けてしまった場合、ジダン監督は更迭されてしまうんだろうか。そういう会長のくびきから自由になって、思う存分采配を振るえるジダンが見たいと思うのは私だけだろうか。

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