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「突然”柴崎のチーム”に変貌したテネリフェ、監督に心中の覚悟はあるのか?」スペイン・リーガ・エスパニョーラ2部 第36節 ムルシア-テネリフェ

DAZNでリーガ・エスパニョーラ2部の試合放送が始まってから、初めて柴崎が先発したという事で、昨日はムルシア戦を観戦。

今回テネリフェの試合を初めて90分じっくり見たわけだが、さすがにテネリフェの欠場者までは把握できていないけど、ぶっちゃけ現在リーグ3位で1部昇格プレーオフ圏内にいるとは思えないほど、内容的には乏しいサッカーだった。

テネリフェのフォーメーションは4-4-1-1でスタート、柴崎はトップ下の位置で先発したのだが、前節と同様に攻撃はひたすらロングボールばかり、1トップのロサノは裏への飛び出しを狙ってはオフサイドに引っかかるだけでポストプレイという概念が無いので、柴崎がボールを触るシーンはたまたまこぼれ球が来た時だけで、あとは守備のカバーに走るだけ。

ただそれは柴崎にも少し原因があり、攻守が切り替わる場面で少し見てしまう場面が多く、味方がボールを持った時にパスコースを作る動き出しが遅くて、スペースに出る動きも途中で諦めてしまうパターンが見られた。その辺は連携の問題もあるのだろうが、まだ柴崎本人もスペインリーグのインテンシティに慣れていないように見える。

そして守備もザルと言うほどではないが、時折ポッカリと簡単にバイタルにスペースを作ってしまう事があり、スルスルとドリブルで持ち込まれてフリーでシュートを打たれたりと、失点してもおかしくない場面は何度もあった。そして19分にCKからのヘッドを一度はGKエルナンデスが弾いたものの、ティトに押し込まれて失点献上。

しかし前半30分過ぎに、柴崎がトップ下から右SHへポジションを移動した事で戦況は一変する。それまではバックパスか一発狙いの縦パスという一か八かしか無かったテネリフェの攻撃に、柴崎の確実な繋ぎが入ることでポゼッションと落ち着きが生まれ、さらにボールが柴崎に集まる好循環が生まれだす。

後半2分には、高い位置でボールを奪ってからのスルーパスでロサノがGKと1対1になる場面を作り出し、ロサノはGKを交わそうとして倒されるがボールに行ったと判定されノーファール。ロサノだけじゃなく、どうもテネリフェの攻撃陣は視野が狭くて判断も遅いのが目立つ。

柴崎の活躍で、相手もマッチアップする左SBが常時監視するようになってボールが来なくなったが、監督も柴崎を活かさなければと思ったのだろう、ここで今度は左SHにポジションチェンジ。後半18分にアーロンが下がってからは全てのセットプレイを柴崎が蹴るようになって、完全にテネリフェは「柴崎のチーム」になってしまう。

が、テネリフェはバイタルエリアまでボールを運んでも、そこから崩しの意図がチームで共有できず、せっかく柴崎がライン上でフリーになってスルーパスを待っているのに、適当なミドルを打って枠を外してしまう。後半37分に、柴崎が中へパスを出した後に自身がゴールへ飛び込むワンツーを見せたのだが、わずかにボールが合わずシュートならず。そして試合は0-1のまま終了。

確かに、柴崎が攻撃の中心になった事でテネリフェの試合内容は劇的に向上し、マスコミからの高評価も当然の出来ではあったのだが、結局柴崎のビジョンを他の選手が共有できないと得点には繋がらない。そしてテネリフェに残された時間はあまりに少ない。残りの6試合を、柴崎のチームに作り変えて臨むのか、従来通りのサッカーで押し切るのか、監督の判断が注目される。

 

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