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「進化した浦和の攻撃に、5バックマンマークは最悪の選択だった」アジア・チャンピオンズリーグ

生放送の時は他の予約とかぶっていて見られなかった、浦和とウェスタン・シドニー・ワンダラーズの試合を、昨日は再放送で録画観戦。

既に日にちが経っているので得点経過については省略するが、結果的に言えばシドニーが通常の4バックじゃなくて、浦和の3-4-3に対して全く同じ形でミラーゲームを仕掛けて来た事が完全に裏目に出た試合だったと言える。

シドニーのポポヴィッチ監督の狙いとしては、マンマークでフィジカル勝負を仕掛け、浦和のパスワークを寸断させる事だったのだと思うが、今の浦和の攻撃は、以前よりも進化して攻め手の数が増えており、浦和の選手たちは余裕を持ってマンマークを回避出来ていた。

その1つが、ブラジルW杯でドイツが制覇した要因である「ローテーション戦術」。マンマークはマッチアップの相手を常時視界に置いて守備をするのが主眼なのだが、それに対して選手が様々に入れ替わり、しかもポジションのバランスを崩さず、違う選手がその場所で同じ役割を果たすことで、マンマークする相手を混乱に陥れる戦法である。

浦和の場合、武藤と関根、李と駒井が中と外でポジションを入れ替わったり、森脇や槙野がオーバーラップして来たりと、サイドなら攻守のどの位置でもプレイできるしクォリティに遜色がない。そのため、シドニーの選手はマークが後手に回り、セカンドボールを自由に拾われてしまっていた。

そして攻撃でも、ウイングが降りてクサビの縦パスを受けるのを基本として、ボランチからのダイレクトパスでサイドが裏抜け、ウイングが張って中にWBの選手が入って間受け、相手が前に出てきたらロングボールを裏にと、様々なシチュエーションに対する攻撃が用意され、それぞれに選手のオートマティズムが浸透している。ターンオーバーをしながらこの攻撃の完成度は驚異的である。

とは言え、このままアジアを簡単に制覇するには課題は多い。攻撃では威力を発揮する浦和3バックの高さ不足は明白で、この試合でもサイドの深い位置からクロスを上げられると、シドニーのCFサンタラブにあっさり競り負けていたし、ゴリゴリと力任せに来られるドリブルにも弱く、1対1に晒されるととたんに不安定さを露呈してしまう。

つまり浦和の守備は中盤や前線のプレスバックが命であり、戦術的・運動量的にどこまでコンパクトなサッカーを保ち続けられるか、これからやって来る過密日程と夏の暑さの中で、選手のやり繰りを含めてミシャ監督の手腕が問われて来る事になるだろう。

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