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「あと少しで、モウリーニョの手のひらから水がこぼれそうだったのに」イングランド・リーグカップ 決勝 マンチェスター・ユナイテッド-サウサンプトン

吉田が先発としてマンUとの決勝の舞台に立った、イングランド・リーグカップ。しかし残念ながらサウサンプトンは2点差を追いつく健闘を見せながらも最後に力尽きて敗れ、1976年以来40年ぶりとなるタイトル獲得とはならなかった。

とは言え、改めて試合全体を眺めてみると、サウサンプトンはカップ戦の巧者であるモウリーニョ監督のゲームプランに上手くしてやられた感は強い。

マンUのフォーメーションは4-2-3-1だが、イブラヒモビッチは相変わらず自由にポジションを取って楔を受け、2列目のマルシャル、リンガード、マタはラインを作って待ち構えるだけ、エレーラとポグバのボランチも流動的に動いていたので、あまりサウサンプトンの選手に対するマークが厳しくなく、吉田とスティーブンスのCBは落ち着いてボールが持てたし、少しビルドアップでボールを動かせばボランチも前を向くことが出来た。

逆に休養十分なサウサンプトンの出足は鋭く、前半11にレッドモンドのサイドアタックから逆サイドのセドリックがクロスを入れると、ガッビアディーニが上手く抜け出してヒールでゴールを揺らすがオフサイドの判定。しかしリプレイで見るとファーにいたバートランドはオフサイドだが、ガッビアディーニは完全にセーフだった。逆に前半19分、イブラヒモビッチが直接FKを蹴ると、コースは甘かったがサウサンプトンGKフォースターの反応が遅れて届かず、マンUが先制点をゲットする。この10分間が、何ともサウサンプトンにとっては不運でもったいなかった。

その後はマンUがさらに引いてしまい、サウサンプトンがボールを支配する展開が続くが、ウォード・プラウズが惜しいミドルを放ったり、バイタルでフリーな状態で抜け出したタディッチのシュートはGKデ・ヘアの正面に飛ぶなど決定的なチャンスはあったが活かせない。そして案の定、38分に右サイドからこれもバイタルでフリーなリンガードにボールが渡り、吉田の股を抜くシュートを決めて決定力の差を見せつける。この場面でもフォースターは前に出過ぎて反応が届かず、彼の不安定なプレイもサウサンプトンにとっては痛かった。

このままサウサンプトンはただの善戦マンで終わってしまうのかと思われたが、前半のロスタイムにカッビアディーニが右からのクロスに合わせて今度こそ得点を決めると、後半開始早々にもCKからのこぼれ球を、ガッビアディーニがDFを背負いながら反転シュート、GKデ・ヘアが一歩も動けない技アリのゴールを決めてサウサンプトンがとうとう同点に追いついてしまう。

そこからはサポーターの大声援を後押しにサウサンプトンが攻勢を仕掛けるが、後半からアクセルを強めたマンUは前半と比較にならない厳しいプレスをかけ始めてサウサンプトンに自由なプレイを許さず、ともにチャンスを作る一進一退の展開となる。が、結果的にここからの交代選手の差が試合の明暗を分けてしまった。

サウサンプトンはタディッチに代えてブファルを入れたが、途中出場とは思えない動きの悪さと判断の遅さでミスを連発、後半38分には幻のハットトリックを決めたガッビアディーニを下げるという苦しい選択を強いられたのに対し、マンUはアンカーにキャリックを入れて中盤を安定させ、元気いっぱいなラッシュフォードのドリブル攻撃でサウサンプトンを疲弊させる。

そして後半42分、サウサンプトンはセットプレイで前に出たところからカウンターを受け、守備陣がポジションを修正しきれないうちに連続してクロスを浴びせられ、吉田の相棒であるスティーブンスが前に出てしまったスペースをイブラヒモビッチに使われ、クロスを頭でズドン。もうサウサンプトンにはそこから反撃できる力は残されていなかった。

吉田については、前半は比較的無難なプレイが多かったが、後半は積極的なボールカットからドリブルで持ち上がったり、イブラヒモビッチとのデュエルにも打ち勝ち、ピンチも鋭いカバーリングでカバーするなど獅子奮迅の活躍。欲を言えば、もっと局面でラインをしっかり上げていれば失点の確率は下げられたと思うが、リーグカップベスト11にも恥じない働きだった。ガッビアディーニが入って攻撃陣はテコ入れ出来たので、ファン・ダイクの復帰まで守備は吉田が頑張って欲しいね。

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