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「こうして日本はトップ下だらけになってしまうのであった」ドイツ・ブンデスリーガ第21節 ケルン-シャルケ

守護神ホルンや主将のレーマン、そして攻撃の核であるビッテンコートを怪我で欠き、大迫がボランチをやらないといけないほど厳しいやりくりを強いられているケルンと、バイエルンに引き分けてから3連勝、ミッドウィークはヨーロッパリーグでPAOKにアウェイで3-0と快勝して波に乗っているシャルケとの試合。

ケルンはホームの試合というのもあって、ようやくモデストと大迫の2トップにして来たのだが、後ろは3バックのダブルボランチ、トップ下には5ヶ月ぶりの先発となるヨイッチが入る、3-4-1-2というフォーメーションにして来た。これはシャルケのフォーメーションが3-1-4-2なので、ケルンのシュテーガー監督には中盤の3人をマッチアップさせて戦術のギャップを作らない狙いがあったのかもしれないが、正直言ってこれは機能しなかった。

表記的には3バックだが、守備時にはWBが下がって5バックになるためダブルボランチの両脇に広大なスペースがあり、大迫もヘヴェデスやバトシュトゥバーに厳しくマークされ、ボールをロストするとそのスペースを使われてあっという間にゴール前まで持って行かれてしまう。前半の2分に、ラウシュがサイドでカリジューリに振り切られてクロスをシェプフに先制点を決められたように、サイドの攻防でもケルンは劣勢に立たされて厳しい展開。

前半の途中から大迫とヨイッチが並ぶように2列めへ下がり、3-4-2-1の形になってからようやくケルンの内容が安定、疲れが残るシャルケのプレス圧力が落ちたのもあって、大迫がバイタルに下がってボールを柔らかく足元に収めると同時に、モデストとヨイッチが前線へ走る動きで攻撃のリズムが生まれ始める。すると前半43分にソレンセンからの縦パスを受けた大迫が素早くモデストにミドルパス、モデストはボールが足元に入り過ぎてしまうが、上手く前に出すとゴール右隅にコントロールショットを決めてケルンがエースの一発で同点に追いつく。

その後も大迫からモデストのホットラインはシャルケを脅かし続け、同点ゴールの直後にも大迫のパスからモデストが抜け出すがこれは持ち過ぎて相手にカットされ、少なくとも2~3回は大迫からのキーパスはあったのだが、モデストはオフサイドトラップに引っかかりまくって追加点を奪えず。大迫もあまりにモデストへのパスを意識し過ぎたのか、自分で打ったシュートは枠を外れたミドルのみと、待望のFWとしての先発だったのに消極さが目立ってしまった。

終盤は中盤にスペースが出来始め、ゴレツカのドリブルにケルンの守備が後手に回って危ないシーンを作られるが、シャルケの新エースであるブルクシュタラーやチュポ・モティング、ミュラーが決定的な場面で決められず、ケルンも大迫を本当のトップ下にしてツォラーを入れた2トップにしたが戦況は変えられず、試合は1-1のドローで終了した。

ゲントの久保もそうだが、チームの中盤に足元へ正確にパスを出せる選手が居ないと、体格に劣るためハイボールやクロスに競り勝てない日本人選手はどうしてもボールを受けに下がらざるを得ず、技術がある選手の場合はそこからパスを出す役目になってしまい、どんどんFWからトップ下、中盤へとポジションが下がってしまう。かと言って、前で受ける事を意識し過ぎると浅野のように孤立するし、守備をし過ぎても岡崎のようにFWとしての評価に繋がらないし、なかなか難しいところである。ドイツで1トップを日本人選手が張れる日が、自分が生きているうちに来るんだろうか?

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