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「世界に誇るバルサの中盤を、PSGの中盤が完璧に破壊したという衝撃」UEFAチャンピオンズリーグ ベスト16第1レグ パリ・サンジェルマン-バルセロナ

いや~、いくら公式戦11試合負け無しで好調だったとは言え、リーグアンではモナコについで2位だし、CLのグループリーグもアーセナルに次いで2位抜けだったPSGが、まさかバルセロナを4-0で粉砕するとは誰も想像していなかったのでは無いだろうか。

その最も大きな原因はバルセロナのコンディション不良。本来なら存分に攻撃のタクトを振るはずのブスケツとイニエスタは故障明けで存在感が薄く、スタッツを見ても縦パスがほとんど無く横パスばかりで攻撃のスイッチを入れられていない。自慢のMSNも、通常通りだったのはネイマールだけで、スアレスはゴール前の絶好機をミスるなど全くらしさが見当たらず、メッシは前線にいてもパスが来ないので中盤までフラフラ下がり、2失点目の逆起点となるキープミスを犯してしまう始末。バルサの攻撃の核となる5人のうち4人が不調ではどうしようもない。

とは言え、PSGの内容が素晴らしかったのも事実。フォーメーションは4-3-3だが、守備時には4-1-4-1のコンパクトなゾーンを形成してバルサの前線に「間受け」を許さず、1トップのカバーニはブスケツをきっちりマークしてバルサのビルドアップを無効化した。そして何より見事だったのは中盤のマテュイディ、ラビオ、ヴェッラッティの働き。絶え間なく動き回ってバルサの選手の間でパスコースを作り、ウイングのドラクスラーとディ・マリアも的確にサポートして狭いスペースの間でしっかりボールを繋ぎ、バルサのプレスを巧みに掻い潜っていた。

中でも特に光ったのはアンカーのラビオで、いったいどこにこんな逸材が隠れていたのかと驚かされるぐらい、高さもあって運動量も豊富、パス成功率も92%と極めてミスが少ない。年齢はドルトムントのヴァイグルと同じ21歳と若く、しかもプレイはより成熟している。おそらくオフシーズンには白紙小切手を手にした名だたるビッグクラブが行列を作るのは確実だろう。

2点目のプレイでメッシからボールを奪ったのは彼のタックルだったし、3点目のシーンはDFラインでボールを受けると、バルサの前線3人に囲まれながらもキープして出した縦パスから生まれたもの。後半に入ってからSBが積極的に攻撃参加し、バルサのほうに試合の流れが行きかけたところでの3点目は、不調のバルサの心を砕くには十分な一発だった。

この場面、ディ・マリアのミドルシュートはゴラッソだったが、本来スペースを埋めているはずのイニエスタが戻りきれず、ジョルディ・アルバがムニエのオーバーラップに引っ張られてディ・マリアをフリーにさせてしまったのが原因で、鉄壁だったPSGの中盤とは対照的に、バルサの中盤は最後までバイタルエリアの管理が満足に出来ていなかった。

ただ、もしバルサが絶好調に戻ればどんなチームであってもホームの4点だけでは安心できない。PSGがこの試合で圧倒的優位に立った事は事実だが、前半27分にはアンドレ・ゴメスのシュートコースが甘くてセーブされはしたが、バルサが完全に崩しきった決定機はあったし、単に引いて守れば大丈夫な相手では決して無い。第2レグのPSGは、この試合以上に集中して臨む必要があるだろう。

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