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「攻撃が機能しないチームをPKで救い、試合を整えてみせた大黒柱」ドイツ・ブンデスリーガ 第19節 フランクフルト-ダルムシュタット

ここまで長谷部を中心としたリーグ2位の失点率で3位と好調を維持しているフランクフルト。しかし得点についてはリーグ9位に留まり、アウェイでガッチリ守りを固めてくる最下位ダルムシュタットとのヘッセン・ダービーは、予想通りに難しい試合になった。

フランクフルトのニコ・コバチ監督は、原則的に相手のフォーメーションに合わせるやり方を取ることが多く、この試合も4-2-3-1のダルムシュタットに対し、長谷部とオマルをダブルボランチにした4-4-2の形にして来たが、守備面ではともかくとして攻撃はあまり機能させる事が出来なかった。

ダルムシュタットは守備時には4-4-2の形になり、FWはフランクフルトのDFにはあまりプレスをかけずボランチをマークして来たので、フランクフルトは仕方なくサイドを経由した形にビルドアップが偏り、ダルムシュタットは守備時にはSHが下がって5バックの形にしてサイドのスペースを潰して来たため、サイドアタックも出来ず外と中で横パスをし合う遅攻を強いられてしまった。

さらに今までのフランクフルトだと、マイヤーを完全な攻撃の軸にして、周りは彼に点を取らせるためのお膳立てをするという方針で統一されていたのだが、2トップの一角にフルゴタが入った事でマイヤーとスペースを食い合う場面が目立ち、左SHに入ったレビッチはドリブルで持ち過ぎる事が多く、前線でのコンビネーションが無くて前半はほとんど有効な攻撃が出来なかった。

逆に、GKフラデツキーのキックミスを拾われてフリーでシュートを打たれたり、34分にはCKのこぼれ球を押し込まれそうになったが、相手がどれも枠を外してくれてフランクフルトは何とか無失点でしのぐと、後半も序盤はゾーンの間でボールを受ける攻撃が機能したかと思ったら、バイタルエリアでのマークを早めて守備を修正したダルムシュタットに対して早々にペースダウン、さらに守備的選手を投入したダルムシュタットの守りはさらに堅くなり、試合の行方は再び混沌とし始める。

しかし悲しいかな低迷するチームに良くあるパターンで、ダルムシュタットは良い守備が90分間続かない。後半20分ぐらいからプレスの勢いが落ちて中盤が間延びし、フランクフルトはカウンターからのミドルでCKを得ると、PA内でダルムシュタットのミロシェビッチがバジェホを抱きかかえて倒してしまってPK。ここでキッカーになったのは何と長谷部で、プレッシャーがかかる場面をきっちりGKの逆を突いたキックで決めてフランクフルトがようやく先制する。

当然、リードを奪われたダルムシュタットは前に出てこざるを得なくなるわけで、後半38分にフランクフルトは一発のロングボールにマイヤーが抜け出し、上手く相手を交わしてのキープからグラウンダーのクロスを流し込むと、中に飛び込んだレビッチが足に当てて2点目のゴール。これで試合は完全に決まってしまった。

長谷部は中盤を堅める相手に対してなかなか有効な縦パスを出せず、単純なミスもいくつかあって個人の出来としてはやや微妙ではあったが、やはりチームからキッカーに指名されてダービーマッチの重要なPKをきっちり決めた事は、さすがの「整え力」と言うしかない。代表でも本田や清武がいない場合は、長谷部がキッカーをやっても良いんじゃないだろうか。そんな場面が中東のアウェイであればだけど(苦笑)。

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