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「酒井高徳のボランチを例えれば、”軽率な長谷部”」ドイツ・ブンデスリーガ第13節 ダルムシュタット-ハンブルガーSV

ここまでリーグ戦で勝利を挙げられず最下位に沈んでいるHSVと、15位のダルムシュタットのホームに乗り込んでの試合。2戦前の試合からキャプテンに就任してしまった酒井高徳は、もちろんこの試合でもボランチで出場。

両チームともフォーメーションは4-2-3-1だが、どちらもゾーン・ディフェンスではなくてほぼマンマーク、残留争いの裏天王山らしく、局面で肉弾戦が繰り広げられる激しい試合で、序盤はHSVが1トップのグレゴリッチュがサイドに流れて基点を作る動きからいくつかシュートチャンスを作るのだが、ロングボールを放り込んでセカンドボールを拾い、ファールを誘ってセットプレイで勝負するダルムシュタットにジリジリと押され始める。

そして前半20分前後に何度かPA内からダルムシュタットにシュートを打たれるものの、HSVは相手の決定力不足に助けられて失点には至らない。すると前半30分、HSVはCKからの流れで酒井が絡み、サイドを抜け出したコスティッチが中へ鋭いクロスを入れると、グレゴリッチュが上手くDFの前に体を入れて頭で合わせ、HSVがチャンスをしっかりものにして先制する。

そこからの前半は静かになったダルムシュタットだが、後半からは逆転を狙ってアクセルを踏み込み、13分にはチョラックが至近距離からシュートを放つがGKマテニアが何とかセーブ、するとHSVもSBの裏を使ってのカウンターから何度かチャンスを作るが、フリーで放ったニコライ・ミュラーのヘディングが外れるなどこちらも得点できず。

後半20分を過ぎるとどちらも中盤のスペースが大きく空いて、互いのゴール前でごちゃごちゃやり合う展開は続くがスコアは動かず、HSVの逃げ切りが見え始めた後半45分に、ダルムシュタットのミスパスを拾ったHSVは酒井高徳からオストルツォレクにスルーパス、これを落ち着いて流し込みダメ押しの2点目。HSVが残留争いのライバルに対してアウェイで大きな勝ち点3、逆にダルムシュタットはこの敗戦で監督が解任される事態になってしまった。

これで酒井高徳がキャプテンに就任してからHSVは3戦負け無しの勝ち点5となったわけだが、ぶっちゃけプレイを見ていてそれほど酒井が大きな効果をチームにもたらしているとは思えない(笑)。酒井がボランチになったと聞いて、果たしてゾーン・ディフェンスを良く分かってない選手が務まるのかなと思ったのだが、HSVの守備が組織だっていないので何とかボロは出ていないようである。

プレイスタイル的には、軽率な長谷部というか雑なカンテと言おうか、中盤で空いたスペースを埋めながら周りの状況を見てカバーリングしたり攻撃参加したりと、酒井の長所である運動量の豊富さとそこそこのスピードを上手く使わせてもらっている感じである。攻撃についてはアバウトな縦パスが多くてミスも少なくないのだが、SBと比べるとミスが決定機になりにくい位置だし、その適当さが良い意味で前への推進力を生み出しているような気がする。

ブンデスでボランチ、キャプテンというと長谷部の後継者という話が出て来るかもしれないが、今持ってきてもサッカーがセンシティブな代表にはミスが多すぎ、まだ危なくて時期尚早だろう。ただ攻撃の視野は意外と広いので、視界が限定されるSBよりはボランチのほうが向いているかもしれない。これからどれだけ成長して行けるかを見守りたい。

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