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「チームを整えつつ攻撃を迎撃する、”インターセプター”長谷部誕生」ドイツ・ブンデスリーガ第12節 フランクフルト-ボルシア・ドルトムント

前節を終わった時点で、3位から7位までが勝ち点21で並ぶという超団子レースになっている今年のブンデスリーガ。その同勝ち点同士の対決となったフランクフルト対ボルシア・ドルトムントは、長谷部が今回はボランチで出場したフランクフルトが2-1で競り勝って4位に浮上、逆にドルトムントは7位へと後退する事になった。

試合後に、ドルトムントのトゥヘル監督が選手の不出来を批判した事が物議を醸しているようだが、この試合の場合はフランクフルトに上手く守られてしまったと言うべきで、前半に3度はあったシュールレとオーバメヤンがGKと1対1になる決定機のうち、1つでも決められていれば結果は変わっていたはずだ。

フランクフルトのフォーメーションは5-3-2で、ドルトムントのフォーメーションは4-3-3。おそらくトゥヘル監督はフランクフルトの並びを予想していて、フランクフルトの3バックに対して3トップを当てて数的同数にし、マッチアップ的にフリーになりやすいアンカーとSBでゲームメイクをしようと考えたのだろうが、それが上手く行ったのは前半30分ぐらいまでだった。

そこからはフランクフルトも、チャンドラーが上がり目になってファビアンがSHにシフトする4-4-2のような形でサイドのスペースを埋めてSBが上がるスペースを抑えつつ、インサイドハーフのゲッツェには長谷部がガッチリマークしてドルトムントにフランクフルト陣内で自由にプレイさせず、逆にフランクフルトのアンカーに入っていたフスティが、ヴァイグルの両脇のスペースへ進出してカウンターをサポートするなど、徐々にフランクフルトがリズムを取り戻し始める。

そして後半のキックオフからそのままの流れで、右サイドでチャンドラーがファビアンのスルーパスを受けて突破すると、ドルトムントの中盤3人が全てボールサイドに引き寄せられてしまい、中で完全なフリーになっていたフスティが折り返しをきっちり叩き込んでフランクフルトが先制する。

これで堪忍袋の緒が切れたのか、トゥヘル監督は後半13分にラモス、シュールレ、ヴァイグルに代えてデンベレ、ロイス、ローデを3人総とっかえ。ロイスはあまり目立たなかったが、デンベレがここから大爆発。圧倒的なスピードでフランクフルトのサイド守備を無効にし、何度もチャンスを作ると後半32分にはオツィプカのマークを引きちぎってクロスを上げると、オーバメヤンが頭で合わせてドルトムントが同点に追いつく。

が、ドルトムントはこれで一息ついてしまったのか、その2分後に中盤で長谷部が相手のパスをカットすると、中から左サイドへと繋いで、最後はフスティの折り返しをセフェロヴィッチがシュート、コースは甘かったがドルトムントGKヴァイデンフェラーが重心の逆を取られて手に当てながらもゴールを許し、フランクフルトがまたもリードを奪う。

その後はフランクフルトが5-4-1でゾーンを固めてドルトムントの反撃を押さえ込み、ドルトムントは45分にデンベレのクロスバーに当たるシュート、ロスタイムにはあわやPKの場面で、判定に不服なシュメルツァーが審判に体当りする場面などがあったが、結局スコアは動かず、フランクフルトがドルトムントとの上位対決を制する事になった。

長谷部は、前半はインサイドハーフの位置でゲッツェをマークしながら、上がり目になるフスティやファビアンの留守番でバランスを取り、後半は5-2-3というボランチにとっては過酷なフォーメーションで奮闘、ミスパスもあったが7回のインターセプトを成功させるという対人能力を発揮、目立ちはしなかったが確実に勝利へ貢献、ボランチの位置でもニコ・コバチ監督の期待に答えた活躍だった。

香川はCLでは活躍したものの、おそらく足の怪我が悪化した模様でベンチ外。この試合のゲッツェやカストロの出来を見ると、香川が万全なら十分ポジションは奪えると思うので、ずっと引きずっていると言われている怪我を早く完治してもらいたいところである。

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