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「前半:リベロ長谷部は決して万能ではない>後半:ごめん、やっぱり万能だった」ドイツ・ブンデスリーガ第11節 ブレーメン-フランクフルト

監督が交代してもここまで4連敗で16位に沈んでいるブレーメンと、ドルトムントと並ぶ勝ち点18で7位と好調のフランクフルト。しかし試合の前半はフランクフルトにとって厳しい立ち上がりとなった。

ブレーメンのフォーメーションは4-4-2で、あまりビルドアップ時にボランチが下がらない、ハリルホジッチの戦術に近いクラシカルなタイプ。対するフランクフルトは長谷部がリベロになったいつもの3-4-3なのだが、相手の戦術に上手く嵌められて攻撃が上手く組み立てられなかった。

いつもであれば、長谷部がテンポよくDFラインでボールを散らせてSBまでスムーズにボールを運べるのだが、ブレーメンのSHがフランクフルトのSBに圧力をかけて高い位置が取れず、1トップに起用したフルゴタがポストの強さも高さも無くて基点になれず、ウイングやボランチは4-4-2の3ラインでサンドイッチされて身動きが取れずと、ボールの出しどころが無くて自陣で無駄にパスを回す事が多くなってしまった。

そしてアウェイの影響なのか、バジェホとアブラアムの左右CBが積極的にマークへ動かずステイする事が多く、DFラインの5人が一直線になってボールホルダーへのプレスが薄くなり、仕方なく長谷部がマークに飛び出すもののあっさり繋がれてミドルシュートを打たれてしまうなど、ドイツ代表デビューでハットトリックを記録したFWニャブリを中心とした勢いにあるブレーメンの攻撃にタジタジとなり、多くの危ないシーンを多く作ってしまう。

前半38分の失点シーンも、5人のDFラインがラインが綺麗に並んで2人のFWをオフサイドにするようラインを上げたところを、右サイドから入れ替わるように抜け出したグリリッチュに浮き球のパスが通り、それをワントラップからファーサイドに決められるという、トルシエジャパンのベルギー戦を思わせるような、ラインコントロールだけに頼った守備の弱点を思い知らされるものだった。

散々な前半だったフランクフルトだったが、ニコ・コバチ監督が後半にマイヤーを投入してフォーメーションを変更した事で状況は一変する。前半の3-4-3から、フルゴタとマイヤーを2トップにした3-1-4-2に変更、これでダブルボランチ同士のマッチアップになってた中盤が、アンカー+2インサイドハーフの形になって数的優位を作れるようになり、中盤で基点を作ってサイドに展開するフランクフルトの攻撃がリズムを作り始める。

そして後半7分に、中盤での縦パスを相手が足を出して触れたボールがたまたまスルーパスのようにマイヤーの前に転がり、これを落ち着いて流し込みフランクフルトがラッキーなゴールで同点に追いつく。その後はオープンな展開になって、どちらかと言うとフランクフルトがゴール前に押し込まれるシーンが多くなり、後半30分にはGKフラデツキーのキックミスからピサーロに決定的なシュートを打たれるものの、何とかフラデツキーは自分でミスを取り返して守りきる。

ところが後半40分を過ぎると電池が切れたかのようにブレーメンの足が止まり、フランクフルトがサイドを支配して攻め立てると、後半ロスタイムにフランクフルトはまたも相手のパスミスを拾うと、最後は交代で入ったバルココがゴラッソミドルを決めるという、まるで今節のケルン対ボルシアMGのような劇的な逆転勝利をフランクフルトが手にした。

前半は動きの悪いDFラインの統率に苦戦していた長谷部だが、後半からはスイーパー的な位置取りをしつつ両CBとSBを高く上げてビルドアップを機能させ、ブレーメンの攻撃も鋭い読みで冷静に対処するなど、さすがに顔には疲れの色が隠せなかったが、後半はきっちり修正してチームを整えたのは、やはり万能リベロ長谷部だった(笑)。

これでフランクフルトは7位のままながらも、3位のドルトムントから5チームが同じ勝ち点21で並ぶ大混戦。その中に、大迫のケルンと原口のヘルタがいるのだから日本人としてはたまらない展開だよね。後は香川が復活してくれればいいんだけどなあ・・・

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