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「トルシエジャパンのメンバーが、”日本の戦術が失われた15年”を埋めに戻って来た」Jユースカップ 準決勝 FC東京U-18-京都サンガFC U-18

今日はいよいよアジア最終予選の大一番となるサウジ戦だけど、既に展望は昨日のうちに書いてしまったので、録画で試合を見たJユースカップ準決勝について。

常日頃から、日本にはゾーン・ディフェンスの素養が足りないと書き続けているんだけど、もはやJリーグなどのユース世代ではゾーン・ディフェンスが常識になっていて、FC東京U-18と京都サンガU-18の試合も守備時は4-4-2の3ラインディフェンスを取るチーム同士の試合になった。

試合の序盤は京都が圧倒。前線から激しいプレスをかけてボールを奪うと、サイドを中心に選手が次々と飛び出して手数をかけずに攻め切るスピードとパワーのある攻撃で東京を圧倒するのだが、クロスの精度が足らずに中と合わなかったり、迫力はあるんだけど勢いに任せすぎて最後のディテールが甘く、チャンスは作るが得点までには至らない。

30分を過ぎて京都のプレッシャーが落ちると、各選手の技術では一枚上回る東京がペースを握り、AFC U-16選手権でも存在感を見せた平川を中心としたパスワークでチャンスを作り、クロスバーに当たるシュートや惜しくも枠を外れた平川のダイレクトなど決定機を何度か作るなど、東京が優位に立った状態で前半を終える。が、先制点を奪ったのは京都。後半7分に京都が左サイドを攻め込むと、折り返しのクロスをAFC U-16でキャプテンだった福岡がGKが一歩も動けないゴラッソを叩き込んでしまう。

しかし、ここから京都はリードを守りたいという意識が強くなってしまったのか、4-4のゾーンを作るんだけどマーク&カバーの意識が無くなって、東京の松岡や内田がドリブルを仕掛けるとズルズルと後ろに下がるだけになってしまい、東京が京都陣内でハーフコートサッカーをしている状態になってしまう。

それでも何とか京都はドン引き状態で最後のところは耐えきっていたのだが、後半24分に京都GK遠近がPA内への抜け出しに対して体を引っ掛けてしまいPK。しかしこのPKはコースが甘くて止められ、これで東京の運は尽きたかのように思われたが、その6分後に小林が右サイドから絶妙な浮き球シュートを決めて東京がとうとう同点に追いつく。

そして試合は延長に入り、前半4分にスルーパスから絶妙のタイミングで抜け出した小林が2点目を決めて東京がリードすると、京都も試合終了間際に猛攻を見せて、CKからの流れで決定的なシュートを放つも、DFの必死のクリアで同点ならず。東京が苦しい試合をものにして広島との決勝に進んだ。

京都U-18の監督は、トルシエジャパン時代に活躍した森岡隆三氏。後半は組織的に機能しなかったが、前半はアグレッシブなサッカーで東京を圧倒、プレミアリーグウエストも序盤の低迷から盛り返すなど、指導者としての実績を順調に積んでいる。トルシエアレルギーによって15年間に渡って戦術を忘れてしまった日本が、彼らの世代によって再び戦術が日本に戻りつつあるのは何とも感慨深い。

A代表では、ハリルホジッチが自分たちのサッカーからゾーン・ディフェンスのサッカーへと苦心して移行しようとしているが、それが失敗したとしてもそれはハリルホジッチの責任というよりは協会の責任でもある。何度も書いてるが、日本がアジアで勝てなくなったのは個人・チーム戦術で劣ってしまった事が最大の理由である。ユース世代ではようやく修正がされ始めているのだから、例えW杯に出場できなかったとしても、馬鹿なマスコミに流されて自分たちのサッカーへ回帰する事だけはやってはいけないのだ。

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