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「日本は首位に立っているのに、最終戦が引き分けだと敗退する可能性があるとは・・・」AFC U-19選手権 グループC 日本-イラン

初戦のイエメン戦を苦しみながらも3-0で勝利を飾った日本。2戦目の相手は、初戦のカタール戦を1-1のドローで終えているイランとの対戦。

日本はイエメン戦と比べると、まだボールを早く動かそうという意識は感じられたものの、きっちり引いて守るイランの守備を最後のところで崩せず、流れからは唯一と言って良い決定機だった、三好のシュートをGKが弾いたボールに対する小川の寄せも枠に飛ばせず、イランにはゴールと判定されてもおかしくないようなミドルシュートを浴びるなど、日本がボールを支配しながらも決定機の数では上回られる拙い試合運びで、引き分けで納得の内容だったと言える。

全世代において日本代表が直面している課題というのは、この試合のようにコンパクトなゾーン・ディフェンスからカウンターという戦術が中東諸国では浸透しきっており、それを崩すための方策が日本には無いという事である。以前のように、相手がマンマークベースの守備であれば、いわゆる「自分たちのサッカー」で局面を崩せば何とかなったのだが、完成されたゾーン・ディフェンスに対してはチームとしての”崩す形”が必須になってしまっている。

今のトレンドは、4-4-2の3ラインで守る相手に対しては、ボランチの1枚がアンカーとして下がって両SBが上がり、3-1-4-2のような形で後ろのWの字に並んだ選手の間でボールを回しながら、アンカーからサイドチェンジ、SBからポストプレイに下がるFWへの縦パス、中に入ったり外に張ったりするSHへのパスというように、相手4-4のゾーンの中に前線の選手が出入りする動きに当てる流動的な崩しが主体になっている。

しかしU-19日本代表の場合は、ボランチは横に並んだままで縦関係を作らず、SBが上がってもFWやSHが連動して動かないので、常に相手のマークが付いたままでパスを出せず、出したとしても少しでも精度が狂うとパスカットと、たまたま流れの中で相手の守備陣形が崩れたり、堂安が前を向いてドリブルを仕掛けられたら攻め込めるけども、自分たちの能動的に相手の守備を崩そうという戦術的な狙いは全く感じられなかった。

だいたい監督の仕事なんてのは本来試合が始まるまでに8割がた終わっているのが普通であり、相手を適切にスカウティングして適切な戦術を練習で浸透させていれば、いちいち試合になってからピッチの横で大声で選手に指示を出す必要なんか無いわけで、試合中に小川や中村駿太へボールの受け方を支持するようでは遅すぎるし、そもそもチーム全体の連動性がなければ、いくら個別の選手だけに指示を飛ばしたところでチャンスなんか生まれるはずもない。大阪方面のクラブにも声のデカい監督がいるけど、ピッチ上のうるささと指導力はまあ反比例するよね(笑)。

選手については、エースの小川は決定機を外した以外も、不正確なポストプレイと無理なワンツーが目立ってかなりマイナス評価。逆に堂安は攻守の切り替えが早くなって良くなった。ボランチは坂井の存在意義が謎。イエローはもらったけど原のようなファイターを組み込んだほうがこのチームには良いと思う。SBは誰が出てもビルドアップ能力不足が深刻。現状はCBの中山と富安だけで何とかチームを支えているような感じかな(苦笑)。

さて次はグループリーグ最終戦。相手のカタールはイエメン相手に1-0と勝利したため、日本とカタールが勝ち点4で並び、得失点差で日本が首位に立った。ただし、イランが勝って日本がカタールと0-0で引き分けた場合は3チームが勝ち点5で並ぶ事になる。この場合、当該国同士の勝ち点、得失点差、総得点の順で優先されるため、1点ずつ取っているイランとカタールに対し、日本は0なので、日本は3位に落ちて敗退してしまう。そのため、日本は1点以上を取っての引き分け以上の成績が勝ち抜け条件となる。つまりカタールは無理に攻める必要が無いので、難しい試合になってしまうのは確かだろう。

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