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「何ともお先が暗い3-0の”好スタート”」AFC U-19選手権 グループC 日本-イエメン

来年に韓国で行われる、U-20W杯の出場権がかかったAFC U-19選手権。内山監督率いるU-19日本代表は、初戦のイエメン戦で3-0の勝利を挙げてまず好スタートを切った。

・・・とスッキリ書きたいところだが、内容的には非常にフラストレーションが溜まる試合と言うか、はっきり言ってしまうとこの試合を見る限りでは、とても世界の舞台で戦うにふさわしいクォリティを持っていないチームだった。

日本のフォーメーションは4-4-2で、一応守備組織としては3ラインのゾーン・ディフェンスの形になっているのだが、攻撃に移った時の形、連動性、約束事がまるで存在していないように見える。

普通、ゾーン・ディフェンスではCBがボールを持つと、SBがスライドして高い位置に上がり、そこからFWがポストで受けに下がって相手の守備を引きつけ、空いたスペースにSHが上がってSBから縦パスを受けるポジションを取るという風に、ボールホルダーから順繰りに選手が動いてパスコースを作る、ある程度決まった形があるのだが、日本の場合は選手がボールを持っても周りが全く動いていない。

前半はあれだけ日本がボールを支配していたのに、SBがオーバーラップしてクロスを上げることはまれで、CKの数もわずか2本という少なさ。相手のSHがSBの位置まで下がって5バックのように守っていたとは言え、いかに相手の守備を左右に動かして人の少ないところを作り出す、全体の連動した動きが無いかの証明だったと言える。

特に気になったのは、本来であればチームを引っ張るべき存在である堂安のプレイで、SBが上がってるのにサイドへ開かず足を止めて受ける、頭の色だけじゃなくて中身も本田か、というぐらいに密集した中にいてドリブルからカットインというパターンを読まれて引っかかる。10番でキャプテンの坂井も、ボランチなのにトップ下の香川か、というぐらいに近くの味方に短く遅いパスを出すばかりでサイドチェンジなど大きな展開はさっぱりと、どうにもスケールの小さいプレイばかりを見せられてしまった。

後半開始早々に、FKからFW小川航基がヘディングで決めて先制点を奪った事で、イエメンが前に出てきてようやく4バックの横や裏のスペースを使えるようになったが、その得点が無ければそのままズルズルと遅攻拙攻を続けて、そのうち中東得意の時間稼ぎでイライラ、ミスで自滅という流れになってもおかしくなかった。実際に失点物の自陣でのミスパスは3回ぐらいはあったしね。

まあCBの2人はそこそこ安定していたし、先発攻撃陣の中だと三好はそれなりにスペースを考えたクレバーなプレイが出来ていたし、岩崎はスピードでかき回すだけでなく、泥臭くこぼれ球に体を投げ出す2点目を決めるなど、個人レベルでは明るい材料もあったが・・・問題はどう見ても監督にありそう。ハリルホジッチを更迭したい人たちは、今すぐこの試合を見るべきだ(笑)。

グループの中で最も力が劣るイエメン相手でこの内容では、残りのカタール、イランと対戦して本当に勝てるのか非常に心配である。このイエメン戦の不出来が、単なる初戦の緊張や経験不足によるものである事を願うばかりだ。

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