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「あまりにも遠い世界過ぎて、羨ましささえ起こらない両チーム」ロシアW杯欧州予選 グループ7 イタリア-スペイン

ロシアW杯欧州予選、グループ7で事実上の2強と見られている、注目のイタリアとスペインの直接対決第1弾。

試合はイタリアのホームであるユベントススタジアムで行われたが、序盤からスペインがボールポゼッションでイタリアを完全に圧倒する。

イタリアのフォーメーションはおなじみの3-1-4-2だが、中盤の3人がデ・ロッシ、パローロ、モントリーヴォという守備的な人選にした影響もあるのだろうが、スペインはイニエスタとシルバが狭いゾーンを物ともせずに足に吸い付くようなトラップとドリブルで打開し、いとも簡単にイタリアをゴール前に貼り付けさせてしまう。

日本なんかは埼玉スタジアムのピッチ状態が悪かったにせよ、DFのビルドアップは不安定でイラクのゾーンの間で誰も前を向いてパスなんか受けられなかったのに、スペインはDFの4枚がシフトしながらスムーズにパスを回し、イタリアのゾーンを左右に動かしてSBからも前線にスパスパとボールが入っていたのを見ると、まるで遠い世界だと絶望するしか無い。

しかしイタリアもそんな事は当然という風に、PA内でスペインに崩されそうになっても最後はしっかりタイミングよく足を出してシュートを防ぎ、ピケにフリーでヘディングを打たれた場面はあったが、ジエゴ・コスタめがけて飛んでくる正確なクロスに対してもキッチリマーク、前半はシュートゼロ、76%のポゼッションをスペインに与えながらも無失点で終わる守備の堅さも、また日本とは異次元の世界である。

そんながっぷり四つの試合だったが、思わぬ形で先制点が決まってしまう。後半10分にビトロがスルーパスに反応して抜け出すと、ブッフォンがさっとPAから飛び出し、足でクリアすると思った瞬間まさかの空振り、名手の致命的なミスでビトロにゴールを許してしまう。

ここでイタリアは、それまで全くボールが飛んで来なかったペッレに代えてインモービレを投入、スピードでスペインを攻略する形に切り替え、それまで守備一辺倒だった中盤も攻撃に絡むようになって反撃する。

そこからは互いにカウンターを繰り出す形で一気に試合は流動的になるが、スコアはなかなか動かないまま迎えた後半37分に、右サイドからの横パスを受けたエデルがPA内で縦にドリブルすると、ダイブ気味ではあったがスペイン選手の足にかかったとみなされPK。これをデ・ロッシがスペインGKデ・ヘアの動きを読んで冷静に決め、その後はイタリアが勢いに乗って逆転を試みるも、試合はそのまま1-1の痛み分けで終了した。

イラク戦の内容を受けて、後藤健生氏や西部氏がポゼッションサッカーを捨てるのはどうなの?みたいな見解を出しているけど、ザックジャパン時代には遠藤、内田、好調時の香川、本田とスペインに匹敵するレベルの選手がいたのに対し、今の日本はせいぜい清武1人ぐらいという現実を考えると、アジアの戦術レベルも上がっている現状を考えたら単なる懐古主義ではないかという気がする。イタリアのようなサッカーを日本に合わないと切り捨てるのではなく、やはり良いところは取り入れて行く必要はあるんじゃないだろうか。

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