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「日本が”自分たちのサッカー”が大好きな理由は、単に楽をしたいからではないか」AFC U-16選手権 準決勝 日本-イラク

グループリーグで21得点無失点と快進撃を見せ、当然のように優勝が期待されていた日本だったが、準決勝のイラク戦では2つのPKを含む4失点と守備が崩壊して2-4で敗戦、残念ながらベスト4で大会を終える事になってしまった。

ただしイラクが凄く強かったというわけではなくて、どちらかと言えば日本が勝手に自滅してしまった感が強く、やはりいかに百戦錬磨の森山監督といえど、U-16の若い世代の選手を全てコントロールし切る事は難しかったのだろう。

試合が始まってすぐに、その悪い予感は見て取れた。そこまでの日本は、もっとビルドアップが素早くてサイドを有効に使っていたのだが、明らかに後ろの方で足元へとパスを回してなかなかボールが前に進んで行かない。そして苦し紛れに適当なロングボールを蹴ってはセカンドボールを拾われ、19分には菊地のクリアミスを拾われてからのシュートが、瀬古の足に当たってゴールに吸い込まれてしまう。

それでも日本は、29分に平川の絶妙な浮き球パスから山田が決めて同点に追いつき、42分には左サイドから山田が出したグラウンダーのクロスが、宮代とGKの間をスルッと抜けて決まるラッキーな2点目で日本が逆転、さらに後半は前に出てきたイラクの裏を突いて、カウンターから宮代が3度の決定機を迎えるものの、GKとクロスバー、ポストに当てるスリーカードで追加点を奪えない。おそらく、ここで3点目が入っていれば相手の気持ちは切れてしまったはずだ。

そして迎えた後半22分、左サイドからダウードが上げたクロスをファーサイドで折り返されると、中に詰めていたアブドゥルサダに押し込まれて同点に追いつかれてしまう。日本はここで一度落ち着けば良かったのだが、追いつかれた焦りからかS全体がむやみに前へ上がり、失点の直前に投入された久保もサイドではなくてトップ下に張り付いて、縦へ中へと攻め急いでは引っかかる展開が続いてしまう。

すると案の定、35分にカウンターから抜け出したダウードを瀬古がスライディングで倒してしまいPK、そして瀬古は2枚目のイエローで退場と万事休す。90分以内に追いつけばPK戦に持ち込める日本は、その後も諦めずにイラクを攻めるものの、試合終了間際には明らかなダイブを誘ったイラクに再びPKが与えられ、結局試合は2-4で終了した。

まあ、負け惜しみみたいに見えるからあんまりこういう事を言いたくないけど、やはり最大の目標であるU-17W杯の出場を決めたから、モチベーションが落ちてメンタルがぬるくなったという面はあったんだろうね。そうなると、足元でパスを回してサイドよりも中を攻めたがり、全員が攻め達磨になるがチャンスに決められず、カウンターから1対1の弱さを突かれて失点という、悪しき”自分たちのサッカー”が首をもたげてしまうのは、もう全世代における日本の宿痾と言って差し支えないのかもしれない。

イタリアのように、何も指示しなくても勝手にゾーンを組んで戦術的なサッカーをやってしまうレベルになる日が、果たして日本にはやって来るんだろうか?

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