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「目線でフェイントをかけてGKを釣り出した久保の”バルサマジック”」AFC U-16選手権 グループB 日本-ベトナム

上位4チームに与えられるU-17ワールドカップの座を争う、AFC U-16選手権の初戦。森山佳郎監督率いる日本は、初戦でベトナムと対戦した。

日本とベトナムはともに4-4-2のフォーメーションで、日本がどちらかと言うと早めにゾーンからマンマークに移行してしっかり人に当たる守備なのに対し、ベトナムはラインを高く上げてコンパクトに守り、日本の選手がボールを持ってから素早くアプローチするゾーン寄りの守備で、序盤の日本はかなり苦しめられた。

日本は2トップの宮代と山田、SHの中村と久保が中へとポジションを取りたがり、DFラインも縦パスを狙う形が多かったので、中央を固めるベトナムに対して自ら突っ込んで行ってはパスミスを繰り返し、逆にベトナムはボールを奪ってからの攻撃の形がスムーズで、日本はボールポゼッションで圧倒的に上回りながらもカウンターを食らいそうになる場面が続く。

が、これまでのユース世代の日本であれば、攻撃でミスをしてはズルズルと下がって相手を追うだけのアリバイ守備になる事が多かったのだが、さすがに森山監督はしっかり守備で戦う意識を植え付けていて、一度相手に当たってからの二度目の反応が遅いのが気になるが、そこを他の選手がカバーすることで何とか持ちこたえていた。

その悪い流れを断ち切ったのが久保で、前半16分にゴール前で受けたファールからFKを当たり前のように決めて先制点をゲットすると、24分にはベトナムゴール前の混戦から裏に抜け出した福岡に中村からのスルーパスが渡って2点目。これで日本は一気に気持ちら楽になった。

その後は宮代の豪快なミドル、CKからGKが弾いたボールを福岡が押し込むなど日本が得点を重ねるのだが、圧巻は後半19分に久保が決めた5点目。PA内で中村からパスを受けた久保は左サイドをスルスルとドリブルで突破し、角度の無いところから視線を一瞬ファーサイドに向けると、これにGKが見事に釣られてしまい、クロスを予測して前に重心を移したのを見て、久保はそのままゴールに流し込んでしまった。こんな冷静なアイデアがゴール前で出せるのはやはりモノが違うというしか無い。

とは言え、チームとしてはまだまだ課題が多かったのは事実で、久保はあまりに一発で崩すパスを狙いすぎて味方と呼吸が合わない事が多く、左SBに菊地が投入されてからようやくSBのオーバーラップからクロスという形が出たが、それまではせっかくサイドに空いたスペースが全く使われていなかった。次戦の相手はオーストラリアを1-0で破るアップセットを見せたキルギスが相手であり、ベトナム戦と同じような入り方では痛い目に遭うかもしれない。

久保は3人目が交代した後にタンカで負傷退場し、怪我の具合が心配ではあるが、このチームは久保というよりも平川のチームであり、個人の力に頼ったチーム作りはしていないので、あまり無理をさせずじっくり休ませるべきだろう。ただ久保はセットプレイのキッカーとして極めて優秀なので、そこをどうカバーするかだね。

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