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「これが典型的なJリーグにおけるゾーン・ディフェンスの罠」J1 2ndステージ第11節 ベガルタ仙台-横浜Fマリノス

パフォームグループとの大型契約によって、今期限りになる事が決まったJ1リーグの2ステージ制も既に第11節。その過密日程と夏場の疲れの影響なのか、仙台とFマリノスの試合は試合内容的には正直低調だったと言わざるをえないものだった。

特に問題だなと思ったのは仙台の試合運び。守備時は正しくゾーン・ディフェンスで4-4-2のコンパクトなブロックを作るのはいいんだけど、ボールホルダーに対して寄せるだけでボールを奪うところまでは行かず、Fマリノスも前半はそれにお付き合いしてショートパスでゆっくり繋ぐだけの攻撃になっていたのでボロは出なかったが、もっとセカンドボールをサイドやDFライン裏へと展開されていたら早い時間に崩壊してもおかしくなかった。

そして攻撃でも、ボールと逆サイドのSHがあまり高い位置を取れていないので、せっかくカウンターの場面を作ってもゴール前に上がりきれず、ファーサイドに1人選手が来ていればフリーだったのにという場面が前半のうちに2回はあった。ただ単にコンパクトで連動した守りだけに満足してしまって、守備から攻撃へのトランジションというゾーン・ディフェンスの攻撃面を実行できていなかったと言える。

横浜Fマリノスも同じくゾーン・ディフェンスを採用したチームで、前半は攻撃の展開が遅くて仙台に対して攻めあぐねるシーンが多かったが、後半からはモンバエルツ監督も修正して来て、ボールを奪ったらとにかく素早くサイドへ、という意識が徹底されて試合の流れを大きくひっくり返した。

それでもなかなかカウンターが得点へと結びつかなかったが、後半38分にようやく齋藤が長いドリブルからクロスを上げると、それが相手に当たって兵藤の前に落ちてきて、それを兵藤が豪快にボレーで叩き込み、これが決勝点となって横浜Fマリノスが勝利した。

ゾーン・ディフェンスはただ単に守るだけの戦術ではなくて、ボールを奪って素早く大きく攻め切る攻守が一体となった戦術なのだという事を、悪い意味で知らしめるような試合だったかなと。戦術の形よりも本質が体現できているか、そこにJリーグのチームはもっとこだわって欲しい。

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