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「新潟をジャイアントキリング寸前に追い詰めた”ゾーン・ディフェンス”の攻撃」天皇杯 2回戦 アルビレックス新潟-関西学院大学

J1の仙台、名古屋、甲府が敗退するアップセットが連発した今年の天皇杯2回戦。同じくJ1のアルビレックス新潟も、関西学院大学相手に延長戦までもつれ込み、10人になりながらもかろうじてラファエル・シルバの4得点で最後は何とか突き放した。

関学のフォーメーションは4-2-3-1で、守備時は4-4-2の3ラインでコンパクトに守るゾーン・ディフェンス。今やJリーグでもゾーン・ディフェンスを行うチームは珍しくないが、関学の場合は攻撃時にもゾーン・ディフェンスの哲学がしっかり具現化されているのが素晴らしい。

まずボールを奪うと、SHがサイドでボールを持ったらボランチやSBがインナーラップで飛び出してボールを受ける動きをするなど、選手がボールホルダーを追い越してスペースへとどんどん走り込んで来る。それも、ちゃんと選手間のポジションバランスが取れているので、自然とトライアングルが出来てパスコースが作られる。

新潟は全く関学のサッカーを研究してなかったのだろう。関学のスペースへと後ろから飛び出して行く攻撃に対して誰をどうマークすべきか完全に混乱し、とりあえずゾーンらしきものを作るだけで人にあたりに行けず、彼らの動きに付いて行く事が出来なかった。

ただ関学にとって不幸だったのはラファエル・シルバの存在。ゾーン・ディフェンスの基本は、守備でスペースの穴を開けないという事が前提としてあるだけに、そのゾーンである選手が1対1で負けてしまうと、それで出来たスペースを埋めるために他の選手が対応せざるを得なくなり、さらにマークがずれて破綻が広がってしまう。

関学はちゃんとラファエル・シルバを視野に置いて守備を仕掛けていたのだが、そこで強引な突破やスピードで振り切られて最終的には5失点を重ねてしまった。ソーン・ディフェンスも決して万能は戦術ではなく、メッシがいるバルサにゾーン・ディフェンスが根付いているスペインのチームがことごとくやられるように、強烈なクラックがいると破られやすいという欠点はある。

それでも、選手が最初から最後まで自分たちの戦術を信じて恐れること無く立ち向かった姿勢は見ていて気持ちが良かった。戦術やバランスを考えずに選手がただ自分の動きたい場所に行っては交通渋滞を引き起こし、小さく横にしか選手とボールが動かない某国代表に見せてやりたいオートマティズムだったね。

 

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