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「ボールを欲しがらない香川に見る、チームリーダーとしての自覚」ドイツ・ブンデスリーガ第1節 ボルシア・ドルトムント-マインツ

ポカールで4部相手のチームにPK戦まだ持ち込まれ、怪我人も多いマインツを、ポカールで快勝してほぼベストメンバーを揃えたドルトムントがホームに迎えたブンデスリーガ開幕戦。ところが意外にも試合はドルトムントが苦戦する内容になった。

マインツのフォーメーションは、怪我のコルドバに代わってマリが1トップに入った4-1-4-1で武藤はベンチスタート。対するドルトムントはオーバメヤンの1トップにシュールレ、香川、デンベレが入った2列目、ボランチがカストロとローデ、4バックがシュメルツァー、バルトラ、ソクラティス、パスラックという4-2-3-1。

試合はマインツが完全に自陣へ4-1-4のコンパクトなゾーンを作ってドルトムントにボールを持たせてカウンター狙い。ドルトムントはSBが高く上がってポゼッションをするも、気の利いた縦パスを出せるのがバルトラぐらいで、ローデとカストロに展開力が無いため、香川も含めて前線にほとんどボールが渡らない。

ドルトムントが取った対策はデンベレにボールを集めること。デンベレはマッチアップした相手の左SBブロジンスキを何度もドリブルでブッチ切ってマインツゴールに迫るのだが、そこからの判断が遅くてコンビネーションに欠け、ボールをロストしたりパスミスになったりと残念な感じ。だが17分に、デンベレの良い突破からのクロスでドルトムントがCKを取ると、香川も絡んだショートコーナーからストレートなクロスをシュールレが放ち、オーバメヤンが上手くDFから消える動きで裏を取ってヘディングを突き刺す。

これでマインツが反撃するかと思ったら、相変わらずマインツは専守防衛のまま。ただマインツのプレスの勢いは落ちずに何度かドルトムントのミスを拾って危険なカウンターを放つものの、ドルトムントGKビュルキがナイスセーブで防いだりと、ドルトムントにとってはボールを保持しながらも全く息を抜けない展開が続く。

ここまで2~3度ほどバルトラかが縦パスをもらった以外はほとんどボールに触れなかった香川だったが、後半14分にカストロに入ってヴァイグルが入ると、ボランチからシンプルにボールを当ててくるようになり、左サイドに回ったデンベレにスルーパスを出すなど攻撃のリズムを作り始める。

マインツはようやく後半26分にエズトゥナリ、36分に武藤、続けてデブラシスと攻撃的な選手を入れて同点を狙い始めるが、逆に後半の43分、カウンターからボールをもらった香川が上手くターンしてピシュチェクに繋ぎ、最後はシュールレがドリブルでPA内に持ち込むと、後ろから手を使って倒されPK。これをオーバメヤンが決めてドルトムントがようやく2点目をゲット。

勝負はこれで決まったと思われたのだが、ロスタイムに右サイドの混戦からデブラシスが抜け出し、武藤がファーに動いたタイミングでドンピシャのクロスが飛んできて、武藤にとってはまさに”美味しい”ヘディングゴールで1点差に迫り、ドルトムントに冷や汗をかかせたもののスコアはそのまま動かず2-1でドルトムントが何とか開幕戦を勝利で飾った。

以前の香川であれば、トップ下でボールが来ないとポジションバランスを無視してボランチに下がったりサイドに流れたりと、ボールくれくれアピールをする事が多かったのだが、この試合では焦りを見せず泰然とトップ下の位置に留まり、ボールが来た時にはデンベレやシュールレとのコンビプレイを優先するなど、自分よりもチームを優先するリーダーとしての自覚が芽生えつつあるのではないかという気がしている。その姿勢はこれから最終予選を戦う代表にとってもプラスになるはずだ。

武藤については試合に入ってからもほとんどボールは受けられなかったが、最後の最後でゴールを決めるのはやはり”持っている”と言うしか無い。開幕戦は先発から外れたが、良いアピールになったのではないか。これからチャンスは確実に増えるだろうから、とにかく結果を積み上げていきたい。

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