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「瀕死のブラジルを蘇らせたのは、ネイマールじゃなくて意外な伏兵」リオ五輪サッカー男子 準々決勝 ブラジル-コロンビア

グループリーグではアジア3位のイラクにスコアレスドローを喫して絶体絶命のピンチに陥ったブラジル。しかし最終戦のデンマーク戦で4-0とようやくケチャドバが起こって逆転のグループ首位で勝ち上がると、準々決勝では日本と同じグループだったコロンビアにも2-0で快勝、ホンジュラスとの準決勝に進むことになった。

このコロンビア戦で勝利の立役者になったのは先制点のFKを決めたネイマールと言われているが、確かにその得点によってコロンビアが自分たちの得意な形であるカウンターを出しにくくなり、ブラジルにとって試合運びが楽になった事は間違いない。しかし、それよりもイラク戦までのブラジルとは攻撃の内容が根本的に変わった事こそが、本当の復活の理由であると思っている。

イラク戦のブラジルは、とにかく前線に動きが全く無くて、攻撃はダラダラとした遅攻からネイマールにボールを預けるのみ、いかにネイマールがクラッキだからと言ってもマークが集中した状態では何も出来ず、攻撃が完全な手詰まりになってしまっていた。

しかしコロンビア戦のブラジルは、ジェズスが左右に幅広く動きまわり、ネイマールは前線に張ったかと思ったらボランチの位置まで下がってゲームメイクをこなすなどマーカーを撹乱させ、右ウイングのバルボーザは献身的な動きで守備を助けるなど、流動的にポジションを変えながら、しかしバランスは保った状態で絶え間なくボールを引き出し、高い位置でのポゼッションを可能にしていた。

その中でも特筆すべきは、ブラジルのルアンの働き。0トップとも呼べるブラジルの前線が動いたスペースへと常に入り込み、ゴール前に走りこんだと思ったら中盤からミドルシュートを放つなど、自由に動くネイマールと表裏一体になった影のような働きでピッチ上に神出鬼没、コロンビアの守備に混乱をもたらせていた。ルアン自身も後半38分に試合を決めるループ気味のミドルシュートで得点したが、それが無くても試合のMVPに押せる活躍ぶりだったと思っている。

前半は1失点で何とか抑えたもののほとんど何も出来なかったコロンビアは、前半の終わりにネイマールに対してイエロー覚悟のファールを連発して乱闘寸前まで試合を荒れさせてブラジルの動揺を誘おうとし、後半開始早々にカウンターから惜しい場面を作るなど、南米のチームらしいしたたかな戦略でブラジルに対抗するが、日本に対しても相手のミスからでしか得点出来なかったようにコロンビアは前線の力強さに欠け、結局無得点に終わってしまった。

次のホンジュラスは韓国相手にボールを支配されながらも一発のカウンターで沈めたように、コロンビアよりもさらにカウンターに特化したチーム。ブラジルの守備は比較的安定しているとは言え、先制点が取れないとホームの雰囲気が逆のプレッシャーになりそうなので、チャンスにきっちり決めていきたいところである。

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