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「天と地ほどある戦術レベルの差を1人で埋めてしまう楢崎の孤軍奮闘」J1 2ndステージ第4節 サガン鳥栖-名古屋グランパス

昨日はツール・ド・フランスが休養日だったので、久々のサッカー観戦。Twitterで、名古屋の惨状についてブログにアップして欲しいというリクエストが来たので、サガン鳥栖との試合を見てみた。

余談だが、昨日はツールでステージ優勝したペーター・サガンの名前をエントリーのタイトルに書いたら、サガン鳥栖のニュースbotに拾われてしまったので、今度は正しく拾ってもらえることを期待する(笑)。

さて名古屋だが、試合が始まってすぐにこれは戦術が全く機能してないなという事がはっきり分かってしまった。一応、守備のスタートは4-4-2の3ラインゾーンを作ってはいるのだが、DFはそこからすぐにマンマークへと移ってしまい、中盤がボールホルダーにプレスをかけても後ろがマンマークで引っ張られてしまっているので連動できず、プレスに動いた選手のポジションがそのままポッカリとスペースが空いてしまっている。

そうなると、プレスに行っても後ろのスペースを使われるのが怖いために、中盤の選手がボールへアタックしなくなり、全員がステイしたままズルズルと後ろに下がってしまう。DFはPAの中でも相変わらずマンマークで相手選手に付いてしまっているので、他の選手は仕方なくPAの中で空いたスペースを埋めて、団子状態になって鳥栖のクロスを何とか跳ね返すので精一杯。

攻撃を見ても名古屋はボールを奪う位置が低く、ボールを奪った瞬間のポジションバランスがマンマークによってバラバラになってしまっているので、中盤で素早くパスを繋げるオートマティズムは皆無で、足を止めてパスコースを探すか前線で孤立するシモビッチと永井にボールを放り込むのみ。それでも永井は個人能力でシュートまで持って行く事もあったが、あまりにサポートが無さ過ぎた。

それに対して鳥栖の方は、ようやくフィッカデンティ監督の戦術がチームに浸透してきたようで、攻守ともにひたすらカオスな名古屋とは対照的に、4-3-1-2フォーメーションが形作る緻密なビルドアップ能力に目を引かれた。基本的に鳥栖のDFラインのボール回しは4バック+アンカーの高橋によるもので、プレスをかけられるとちょっと危なっかしいところはあるのだが、インサイドハーフと2トップの巧妙なコンビネーションでプレスを上手く掻い潜っていた。

インサイドハーフが外に張り出せばFWが中のスペースに降りて来て、逆にインサイドハーフが中に絞ればFWがサイドに流れるなど、ダイアゴナルな関係を作ってSBとのトライアングルでパスを回したかと思えば、インサイドハーフとFWがタッチライン際で縦に並び、SBからインサイドハーフへの縦パスをスルーして裏にいるFWが受けたり、同じサイドでポジションが詰まったらファーサイドに流れたもう1人のFWにサイドチェンジしたりと、中盤での豊富な組み立てパターンを作って4-3-1-2の弱点であるビルドアップの脆弱性をしっかりカバーしていた。

当然ながら試合内容は鳥栖が圧倒、シュート数は実に11対3と4倍の攻撃を浴びせながら、鎌田や豊田の決定的なシュートやヘディングが枠に飛ばず、後半も鎌田がセンターでフリーで打った至近距離からのシュートが楢崎の腕に当たり、ロスタイムには高橋義希が放った決定的なミドルを楢崎が弾いてボールはゴールポストと、鳥栖の決定力不足と楢崎の神がかり的なスーパーセーブで何とか無得点に終わったという試合だった。

小倉監督は守備のやり方は変えないと語っているそうだが、どう見ても”守備”なんてものが見られない状況で、何をどう改善すれば良いか手がかりも見えないように思えてしょうがないのだが・・・シモビッチ、永井と前線の能力は高いので、ある程度コンパクトささえ保てるようになれば残留は出来るような気はするけど・・・はてさて。

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