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「アスタナの反乱で早くもフルーム包囲網が崩れる」ツール・ド・フランス2016 第15ステージ

このステージは、超級山岳のグランコロンビエ、1級山岳のラセ・ドゥ・グランコロンビエが後半に控えているものの、最後は下りと平坦路が14km続いてのゴールとあって、総合争いの選手にとってはよほどの事が無い限りは動きにくいコース。

そうなると当然、ステージ優勝を狙う選手と山岳賞を狙う選手のせめぎ合いになり、序盤から激しいアタックが繰り返され、個人タイムトライアルで圧勝したトム・ドゥムラン、今年のジロ・デ・イタリアを制したニーバリを含む強力な逃げ集団が形成されました。

そしてグランコロンビエの手前でドゥムランとニーバリが抜け出し、これはビッグアタックになるかと思われましたが意外にも失速、山岳賞を狙うマイカとザッカリンがペースを上げるとズルズル後退して行きました。

峠の下りで、マイカとザッカリンには逃げ集団の中からパンタノとアラ・フィリップが合流するもアラ・フィリップはメカトラブルでストップして脱落、ザッカリンも遅れて先頭集団はマイカとパンタノに絞られ、快調に最後の1級山岳ラセ・ドゥ・グランコロンビエをクリア。マイカはここでも先頭で通過して山岳ポイントを荒稼ぎ、一気に山岳賞をゲットしました。

一方、後方のメイン集団ではグランコロンビエ峠で何故かチームスカイではなくてアスタナが先頭を引っ張る形に。普通ならばマイヨジョーヌを擁するチームが集団を牽引し、他のライバルチームはアシストが疲弊するのを見てアタックを仕掛けるのが通常の戦略なのですが、何故かアスタナはチームスカイをアシストするような動きに出ました。

そこが自転車のステージレースの複雑なところで、レースの賞金は優勝した選手だけではなく、ポイント賞や山岳賞、ステージ優勝、個人総合成績、チーム総合成績と分かれ、それらは個人だけじゃなくてチーム全体にも分配されるので、例えば逃げ集団の中にチーム総合成績を争うライバルチームがいたら、個人総合争いと関係なくても追撃する事があるんですよね。今回のアスタナは何を警戒したかは分かりませんが、結果的にフルーム包囲網は早くも崩れる格好になってしまいました。

ステージ優勝は、ラストの2人によるスプリントを制したパンタノがゲット。メイン集団は、ファビオ・アルやバルベルデがアタックを仕掛けるものの、そこはチームスカイが余裕で封じ込めて逃げを許さず、結局先頭から3分7秒の遅れで集団ゴール。このステージでも波乱は起こりませんでした。

今日のステージは、アルプス4連戦と最後のパリ・シャンゼリゼゴールを控えた最後の平坦ステージ。ステージ優勝狙いのルーラーやスプリンターがせめぎ合う激しい展開になるでしょう。

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