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「クリス・フルームが優勝への執念を見せた12秒」ツール・ド・フランス2016 第10・11ステージ

気がつけば、ツール・ド・フランスもいつの間にか日程的に折り返しの時期になってしまいました。その第10と第11ステージは、前半戦のピレネーと、後半戦のアルプスを結ぶ繋ぎのステージ。

通常であれば、総合争いをする選手は集団で一休みで、逃げの選手とスプリンターがステージ優勝をかけてせめぎ合うレースになるわけですが、第10ステージは1級山岳の下りからペーター・サガンを含む15人の逃げが決まり、サガンはそのままスプリント賞を取った後、ゴールでは同じスプリンターのマシューズに先行を許してしまったものの区間2位でポイント賞を荒稼ぎ。ツールでは定位置と言えるマイヨヴェールをゲットしました。

次の第11ステージは完全な平坦コース。前のステージで逃げ切りを許してしまった他のスプリンターを含むチームは、さすがに今回は追撃の手を緩めず、横風が吹くコンディションで集団の分断を企むティンコフチームなどの存在もあって集団がペースアップ、早くも残り60km地点で逃げが吸収されて一旦はペースが落ち着くものの、残り30kmぐらいからまたもや集団はハイペースに。

そして残りも12km地点になったところで、第10ステージで逃げたものの2位に終わったサガンが再びアタックをかけると、それに反応できた選手は3人のみ。しかし驚いた事に、何とそのうちの1人が総合トップのクリス・フルーム。

もちろん他のチームがフルームの逃げに気づいていなかったはずは無いのだが、最大のライバルであるキンタナを擁するモビスターチームは反応が鈍く、ステージ優勝を狙うロット・ソウダルやエティックス・クイックステップチームが追撃を開始するものの、4人の逃げは強力で20秒の差がなかなか縮まらない。ようやく残り5kmぐらいからモビスターも先頭交代に加わるものの時既に遅し。

結局4人の中から勝利を掴んだのはペーター・サガン。フルームも渾身のスプリントで2位に入り、集団とのタイム差6秒とボーナスタイムを合わせて12秒の差をライバルたちに付ける結果となり、キンタナとの差は35秒に開きました。

今日の第12ステージが、大きな勝負どころとなる”死の山”モン・ヴァントゥ頂上ゴールステージであるだけに、その前のステージで逃げて体力を消耗した事がフルームにとって吉と出るか凶と出るかは分かりませんが、少しでもチャンスがあれば数秒の差を獲得しようとするフルームの、優勝への執念を見せつけられた事は確かです。

逆に闘志という意味では、ここまでのツールで全く素振りも見せていないキンタナが、モン・ヴァントゥで果たして本気を出して来るのか、それとも沈黙は不調の裏返しだったのか、はっきりと分かるステージになるでしょう。

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